【関口】アリババの苦悩

先日、中国のインターネット通販大手であるアリババ社の会長を務めるジャック・マー氏が、以下のような発言をしたとのニュースを目にしました。

「もし生まれ変われるのなら、会社を未上場のままにしておくだろう」


アリババは、昨年9月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場を果たしたばかりの中国企業です。上場時に投資家から調達した資金額は約250億ドルと巨額で、過去最大規模のIPOということもあり、上場時には非常に注目を集めました。それから1年も経っていない中での会長の発言です。マー氏は「上場すると何かと厳しくなる」等と話したとのことで、株主や投資家、社外取締役などから経営への制約を受けることなどにより、上場していることのデメリットを感じているようです。


大抵のIPOに関する書籍の一番初めに書いてあることですが、上場には「メリット」も「デメリット」も両方存在します。メリットとして市場から資金調達が可能になること、会社の知名度が向上すること、内部管理体制が整備されることなどがありますが、その一方で、デメリットとして管理コストの増加、外部株主からの業績に対する圧力、社外役員の増加等に伴う経営の自由度の減少などがあります。  

実際、アリババにおいても巨額の資金調達には成功しており、上場のメリットも享受できているのですが、実際に上場後の会社を運営する中で、直近ではガバナンス面でのデメリット部分を強く感じているというところなのでしょうか。


上場にはメリットもデメリットもあるからこそ、未上場企業が上場を目指すか否かについては、各企業の経営陣や株主が入念な検討を行うことになります。そして、上場することに伴う様々なデメリットを受け入れてでも、会社としてそのメリットを取りに行くという決断をした場合に、実際に上場準備作業に入る(そして実際に上場する)ことになります。

会社の将来を左右する非常に重要な意思決定であるため、ほとんどの企業で上記のような入念な検討が行われているのでしょうが、ごく一部で、あまりデメリット面を深く考慮せずに上場を目指し始めるケースもあるように思います。特に最近のように市況が良く、多くの新規上場企業が生まれている環境だと、多額の資金調達の成功や同業他社・知人の経営者の新規上場のニュースに触れ、それに触発されて自社も上場を目指すことを決定するようなケースが起きがちです。


それでも上場準備中に改めてじっくり検討する機会があればまだ良いですが、そのまま順調に上場準備が進み、実際に上場を果たした後になって初めてデメリットを痛感したとしても、急に未上場の状態に戻ることはできません。そのような状況を迎えてしまうことは、経営者・従業員・株主といった会社の関係者全員にとって大変不幸なことだと思います。

それを防ぐためには、勿論企業側の意識も必要ですが、常日頃から企業の上場支援に関与している各種の市場関係者(専門家)が、上場に関する良い話だけでなく、耳触りの悪いデメリット面も事前に正確にアナウンスしていくことが何より重要になるのだと思います。私もIPOコンサルタントとして、その役割を担っている内の一人だということを改めて意識する機会になったニュースでした。

※アリババ社に関する事実関係や発言の前後関係は把握していないため、アリババ社に

関する記載はあくまで個人の感想であり、今回の記事の内容とは関係がありません。


関口

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