東証が「コーポレート・ガバナンス白書」という冊子を発刊していることをご存知でしょうか?
上場企業が毎年東証に提出する「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」のデータなどを用いて、東証上場会社のコーポレート・ガバナンスの現状について分析を行った結果が記載されているものです。こちらは2007年以降、隔年で発行されており、この4月に2017年版が発刊されています。2015年に「コーポレートガバナンス・コード」が公表されたことにより、ここ数年で上場会社のガバナンス体制にも大きな変化があったことが想像されますが、その変化結果も反映された白書になります。
2017年版の内容から一部を挙げると、
・東証一部・二部の会社のうち、コーポレートガバナンス・コードの全73原則を実施し
ている会社は19.9%
・監査等委員会設置会社は上場会社の18.2%
・監査役会設置会社のうち、取締役の任期が1年の会社は65.8%
・取締役の平均人数は、東証一部で9.29人、マザーズで5.86人
・女性役員を登用している会社は上場会社の7.8%
・社外取締役を選任している会社は95.8%、独立社外取締役を選任している会社は88.9%
(東証一部では97.1%、マザーズでは80.3%)、2名以上の独立社外取締役を選任してい
る会社は60.4%
・社外取締役や社外監査役の属性は「他の会社の出身者」が51.6%でトップ
などなど、色々なことが分かります(他にも、約130ページの中で様々な視点から記載
されています)。
私が上場準備中のクライアントの支援をしている中でも、これから上場会社となるにあたり、自社の機関設計をどうすべきか、取締役を何人体制にすべきか、社外役員・独立役員はどのような方を何人選任すべきか・・・といったガバナンス体制に関する種々の検討は常に行われています。ガバナンス体制は各社の実態や経営方針、経営戦略によっても異なるため、自社で考え決定すべきものではありますが、検討時の参考として他社の状況も知りたいといったニーズがあることも強く感じます。
一口に上場企業の状況と言っても、上場市場ごとに傾向も異なっているわけですが、
東証一部・二部・マザーズ・JASDAQと市場ごとに区分されて記載されている項目も
多くあるため、上場準備中の方々も、自社が上場を目指す市場の他社状況などを参考に
してみてはいかがでしょうか。(東証HP上で、PDFデータでも見ることができます)
(関口)