先日、Jリーグの次期チェアマンとして元Jリーガーでコンサドーレ札幌の社長も務めた野々村芳和氏が内定したことが発表されました。人選もさることながら、私が興味を持ったのはその選考方法です。Jリーグは公式HPにおいて新チェアマンの選考プロセスを公表しているのですが、それによると
とのことです。
どのような経緯でトップが選ばれたのかが今一つ分からない団体などもある中で、このような説明を読むと今回の選考プロセスに客観性・透明性があること、選任理由も対外的に説明できるであろうことが分かります。実際の人選結果も含め、いちJリーグファンとして今後のJリーグに期待できると感じました。
同じような話として、最近では上場企業においても任意の指名委員会を設置し、社長の選任について委員会に諮問した上で決定する形が増えてきています。任意の指名委員会の設置を推奨しているコーポレートガバナンス・コードの影響もあってその社数は増加傾向にあり、21年8月の東証の発表資料によると東証一部上場企業の約63%で設置されています。また、私が関与する上場準備企業でも任意の委員会を設置する事例は見られます。
ただ、この委員会は任意での設置であるため、その運営方法は各社によってかなりバラつきがあるようです。委員会の開催頻度が年1回だけのケースから年に相当回数開催しているケース、委員会の委員長や委員に社外役員や外部の人材が入っているケース・社内人材だけのケース、委員会に実質的な権限があるケース・ないケース・・・などです。形骸化が懸念される事例から相当積極的に取り組んでいる事例まで幅があるのですが、こういった各社の委員会の運営方法の違いは外部からはなかなか分かりづらいのが現状だと思います。
そのため、力を入れて委員会を運営している企業はその詳細内容をJリーグのように積極的に外部に開示していくと良いように思います。私が今後のJリーグの運営に期待を抱いたように、当該企業に対する株主や投資家等の期待感の醸成ができるのではないかと思います。社長の選考プロセスが良ければ必ず経営成績が良くなるとは言い切れないですが、株式投資が企業の将来の成長期待に基づき行われる要素が強いことを考えると、積極的な開示によるIR効果が期待できるのではないでしょうか。
(関口)