上場会社は市場の健全な運営と投資家保護のために、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす情報を、迅速、正確かつ公平に開示しなければなりません。
取引所は金融商品取引法に基づく法定開示制度とは別に、それぞれの規則により適時開示制度について定めています。
上場準備においても、上場後を見据えた適時開示体制の整備は重要な課題となります。取引所も上場申請書類の中で、上場申請会社の適時開示体制整備への取組み状況について記載を求めています。
適時開示体制整備についてお手伝いする中で、私が問題意識を持っているのは以下の点です。
① 取引所が要請する適時開示項目は多岐にわたり、理解に時間がかかること
② 上場会社の経済活動は非常に複雑であり、取引所の規則では具体的な開示項目をすべてカバーできないこと
③ 上場後に初めて適用される制度であり、予行演習がしにくいこと
もちろん①については事前に対応可能ですし、③についてもある程度対応できるのですが、問題は②です。
「どのような内容をどのタイミングで開示するか」は、上場会社の判断によるところが非常に大きいのです。
このような応用問題については、会社の方の「これは開示を検討する必要があるのではないか?」と感じるココロ(勘)が非常に重要だと思います。
問題意識さえ持てば、主幹事証券や取引所などに相談することが可能だからです。
適時開示のココロを養うためには、規則について学習すると同時に開示事例に多く触れることが有効です。
まず、同業会社の開示事例について、開示の内容やタイミングをチェックすることから始めてみるとよいと思います。
(原田)