【黒川】ストックオプションの罠

 IPO準備会社にとって、インセンティブプランの一環としてストックオプションを役職員等に付与している会社が結構多いのではないでしょうか。上場後に権利行使して市場で売却してキャピタルゲインを得てもらうことで、優秀な人材を確保している会社もあるかと思います。

 このストックオプション(新株予約権)ですが、実際に発行する際には、雛型等を参考に新株予約権要項等を作成されている会社が多いと思います。ただ、広く利用されている割には、必ずしも、他社例、雛型等が適切に作成されていないケースも散見されます。新株予約権発行の際には、関連諸法令を確認して、慎重に内容を確認しないと思わぬ事態になってしまう可能性もあります。一度、資本政策を実行してしまったら、後で取消しまたは修正するのは大変な困難が伴うこととなります。

 新株予約権の発行は、会社法、金商法、税法、会計基準、上場前規制等に関連しています。もし、発行手続きで不備があれば登記が通らないこととなります。また、登記が通ったとしても、法的に不備があった場合には上場審査にて問題となることもありえます。

 また、金商法上の募集に該当すれば、有価証券届出書を提出しなければならないことにもなりえます。この有価証券届出書は、直近2期間の監査法人等の監査証明を付さなければならず、提出が困難な状況となってしまいかねません。

 社内の役員、従業員向けにストックオプションを発行する場合は、税制で定められた要件を充たせば権利行使時に課税されずに付与者にとって税務メリットを享受することが可能です。そのためには、税制適格要件を充たすストックオプションを付与することが必要となりますが、税制適格要件を充たすようにストックオプションを付与したはずなのに、実は、税制適格要件を充たしていなかったというケースも結構あると思われます。

 会計基準について、上場会社に限らずIPO準備会社についてもストックオプション会計基準が適用されます。基本的に権利行使価額が株式評価額以上であれば損益に影響することはありませんが、権利行使価額が株式評価額を下回っている場合には、その差額分がストックオプションの価値とされて費用計上をすることになります。

新株予約権については、以上に挙げているほかにも論点が存在し、結構奥深いものがあります。

 本来、ストックオプションはインセンティブとして社内のやる気を高めるものですので、積極的に利用すべきと思いますが、逆に不備のある新株予約権を発行したがために上場に支障を来たしてしまうのは本末転倒です。IPO準備会社は、関連諸法令を押えて充分に留意して発行する必要があります。

 以上、概要を説明しましたが、今後機会があれば詳しく説明していきたいと思います。

 

黒川) 

 

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