先週は3月決算の上場会社による定時株主総会(以下、総会といいます)のピーク週でした。東京証券取引所の統計によれば今年は6月28日の木曜日が最も集中する日であり、この日は集計対象会社1,705社のうち709社が総会を開催する日となっており、全体の41.6%という割合とのことです。
未上場会社の場合は、上場会社ほど株主数が多くないため、総会の位置付けは年間のイベントのなかでそれほど大きくはないのが実情だと思います。 しかし、上場すると一気に株主数が増加します(例えばマザーズやジャスダックでは上場の形式要件として300名以上の株主の存在が必要となっています)。会場も相応の広さが必要になります。勿論すべての株主が総会に参加するわけではありませんが、上場後最初の決算時株主のうちどのくらいの方々が出席されるかを想定し、早い時期から候補会場を見つけておくことが必要です。会場代や招集通知・決議通知の印刷や発送にもそれなりのコストがかかりますので、年度予算の策定時にも意識する必要があります。
また、未上場会社の場合は招集通知の発送は総会の1週間前でよいですが、上場会社の場合は2週間前には発送しなければなりません(会社法299条第1項)。管理部門としては、校了のタイミングが早まることを認識しておく必要がありますし、招集通知自体は、有価証券報告書の添付資料としてインターネット(金融庁が運営するEDINET)上で株主以外の人々にも公開され、上場している取引所のホームページにも掲載されますので、招集通知作成の際の品質管理体制も重要です。
2010年からは総会終了後、総会での議決権行使結果を臨時報告書としてEDINET上で開示するという実務も加わっています。
勿論、事務方だけでなく、総会の議長を務める社長もしっかりとした準備が必要です。百聞は一見に如かずで、実際に他の上場会社の総会に出席されてみたり、最近では総会ビデオをホームページで公開する企業もありますので視聴されたりすることをお勧めします。
総会のシナリオや想定問答を準備し、万全の態勢で臨んでください。上場後最初の総会は一般株主への初のお披露目の場となります。緊張する局面ではあると思いますが、証券会社審査や取引所審査等複数の難関をパスして上場を果たされた訳ですから、臆することなく堂々と総会を進行していただきたいと思います。
(加藤)