iPS細胞を開発した京都大学の山中伸弥教授が、2012年のノーベル医学生理学賞を受賞されました。
新聞、テレビなどでも大きく報道されましたが、書店にもiPS細胞関連の本が平積みされており、たくさんある本の中から、本の帯の「唯一の自伝。」「やさしい語り口で、中学生から読める」というあおりに惹かれて、「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」という本を買って読んでみました。
医師を志すきっかけや、「挫折」を経て研究者としての道を歩み出したこと、その後の研究開発の苦労など、非常に興味深く読むことができました。(iPS細胞のiが小文字なのは、iPodにあやかったものだというエピソードは、ちょっとしゃれていますね)
本の後半は山中教授へのインタビューなのですが、インタビュー記事の最後の方に「研究者だけでは研究できない」という項目があります。
これだけ大きな研究となると、研究者の他、知財、法務、広報等の研究支援者の安定的雇用と、その裏付けとなる資金が必要です。
上場審査においても、東京証券取引所(マザーズ)は「創薬系バイオビジネス」や「大学発ベンチャー企業」について特別の取扱いを定めていますが、このインタビュー記事の内容は、これらの問題を研究機関の経営の側から見たものと考えられます。
折しも、10月22日の日本経済新聞の1面に、政府が官民で創薬ファンドの創設を検討」という記事が出ました。(これには、山中教授のノーベル賞受賞も一役買っているのではないでしょうか)
創薬に限ったことではありませんが、日本にはまだ、世界に誇れる人材と技術がたくさんあると思います。産業界、研究機関を問わず、様々な形で「将来の夢」を支援する資金が出てくると良いなと思います。
かくいう私も手始めに、ほんの少しiPS細胞研究基金に寄附してみようと思います。(基金のホームページを見る限り、寄附金の下限はなさそうです)
(原田)