IPO市場が好調です。
平成25年1月から3月までの新規上場社数は13社で、昨年の同時期(7社)の約2倍です。IPO準備支援の現場でも、IPO準備会社の数は明らかに増加しているという実感があります。
IPO好調の原因は、市場関係者の継続的な努力や市場環境などが複合的に影響し合った結果だと思いますが、現場にいて「あれから空気が変わったかな」と感じる1つの出来事があります。
それは、平成23年3月22 日付の東京証券取引所グループ(当時)の中期経営計画(「中計」)の発表です。
「中計」では、次の3か年の重点戦略の柱として「IPO拡大」を掲げ、上場制度の整備、上場企業向けサービスの拡充、IPO関係者へのプロモーション活動により、「2013年度(平成25年度)以降、60社以上が継続的に新規上場する申請会社の獲得を目指す」としています。
「中計」発表当時は、取引所が新規上場会社数の年間目標を掲げて営業活動をすることに驚いた記憶がありますが、市場関係者の間では「平成25年の新規上場社数は70社前後」との予想もあり、3年間の目標は達成できそうな勢いです。
「中計」は非常に即効性のある施策を打ち出したと考えられますが、今後は、この勢いを継続するための長期的な取り組みが重要な課題となります。
具体的には、次のステップでは「IPO予備軍を再生産する取り組み=教育」にIPO関係者全体で取り組む必要があると思います。
IPO予備軍の「再生産」の施策として、たとえば、起業家精神の向上が考えられますが、このような価値観の変化が根付くためには、社会全体の「脳みそ」が入れ替わるだけの期間が必要です。
仮に、世代の入れ替わりに20年必要で、価値観変化のための取り組みの起点をマザーズ市場が創設された平成11年11月だとすると、社会の「脳みそ」が入れ替わるのに、あと7年程度必要です。
「中計」の発表からは10年という長丁場ですが、「7年後には、生まれた時からマザーズ市場がある「マザーズ世代」が成人して世の中を動かしていく」と考えると、とても楽しみです。
(原田)