一般的に業務改善といっても、範囲は広く様々な内容があると思われますが、全社的な経営管理体制の改善に限って考えた場合に、業務改善を行うきっかけというのは通常でよくあるケースとしては以下の3つが挙げられると思われます。
①問題が発生してしまった後にその再発防止策として、業務を改善するケース
②基幹システム導入に伴い、業務を見直すケース
③IPO準備のために、経営管理体制を改善するケース
業務改善を行う場合には、まずはどのような問題点があるのか問題点の把握が必要となりますが、上記の3つのケースに関して、問題点の把握という点から考えると以下のとおりとなります。
①については、既に問題が生じているので、当然に問題点が把握されその再発防止策をどのように実施していくかを検討する状況にはなっているかと思われます。
②については、業務を効率化させるためにシステムを導入するに併せて、業務の統一化等を行うものでよくあるケースであり、システム導入するか否かの意思決定の際に問題点が把握されある程度共有化できている状況であると思われます。
③のIPO準備においては、実際に問題が生じたわけでもなく、また自社内で問題点を発見した上で改善するというものでもなく、上場審査を通るために必要であるので外部より指摘された点について経営管理体制を整備する、上場という目的達成のために業務を改善するというケースが多いのではないでしょうか。あくまでも、上場のために半ば強制的に経営管理制度の整備を「ねばならない」として導入するケースが多いと思われます。
上場準備が業務を改善するきっかけになっているとは思われますが、本来の趣旨、目的を十分に理解したうえで会社にとって必要だと感じて導入しているケースは少ないのではないでしょうか。
自発的に必要と感じて導入するのと、IPOの目的のためだけに導入するのでは、業務改善の根付き方に違いがあるのではないかと思われます。IPOの審査を通るためといった上場目的だけで考えてしまうと単にやらされ感の残ったものとなりがちです。社内に浸透し定着した体制にさせるのは、上場のためというより本来の業務改善の目的を意識して行うことが必要なのでしょう。
上場後に、問題、不祥事が生じないためにも、本来の趣旨、目的を十分に理解したうえで上場準備を推進していってほしいものです。くれぐれも、喉元過ぎれば熱さ忘れることのないように。
(黒川)