株式市場の相場を読むのは当然のことながら大変難儀であり、最近の相場も乱高下しておりますが、昔からよく言われている格言を経験則として捉えて参考にするのも宜しいのかもしれません。このような経験則は、アノマリーとも呼ばれ、明確な根拠があるわけではないけれども過去の経験則から導き出される価格変動を表したもので、格言と共通するものがあります。そこで、新規上場市場にも当てはまるような格言やアノマリーをいくつか調べてみました。
■「相場の最初は小型株から」
相場が低迷している状況の中では、参加者が少なく商いも少なくなっているので、少ない資金で需給関係が改善する小型銘柄が最初に反応するという経験則です。
小型株が大きく上げ始めて相場上昇のトリガーとなりその後大型株が上昇してきたら本格的な相場、小型株が大きく下げてきたら全体相場は危険と判断することができます。
これは、新規上場市場でも同様であり、相場が低迷している状況の中では比較的小型株が多い新興市場での新規上場会社の株価が活況を呈すると全体相場上昇のトリガーとなることがよくあります。
一方、地合いが完全に回復しておらず良いとは言えない状況で大型株が新規上場し、初値が公募価額を割り込んでしまうと、相場悪化のきっかけとなってしまうこともよく見受けられます。大型株の場合は
市場の強さや勢いを充分に勘案して新規上場の時期を検討することが必要でしょう。
■「山高ければ谷深し」
急騰した銘柄ほどその反動で大きく下げるという経験則です。
過剰な人気となって、実態の業績以上に株価が上がるため、いったん人気がなくなってしまうと売りが売りを呼び下値のメドがたたないため、大きな下げになります。バブルの崩壊ではこの格言のとおりとなったと言ってよいでしょう。
新規上場市場では、初値が公募価額の数倍となり、その後数ヶ月のうちに急落するといういわゆる「初値天井」と言われている現象があります。相場が活況を呈しているときには、新規上場会社への期待感、需給関係の影響により人気が過熱化して高騰するのかもしれませんが、その後業績等が冷静に評価されてくると人気がなくなり大きく下げることがよくあります。この格言のとおり、割高な初値にならないように冷静な売買行動をしていただければこのような「初値天井」にはなる可能性は少なくなると思われます。
関連した格言として、「三割高下に向かえ」というのがあります。これは、3割を目安として売買することを説いた格言です。株が高くなればもっと上がるものと強気になり、下がればさらに下がると弱気になるのではなく、三割程度上がればひとまず売却し、反対に高値から三割程度下がれば買う、という目安を示した格言です。
(黒川)