先日、東京証券取引所は日本郵政グループ3社の上場を承認しました。
政治的な背景が多分にあるものの、親会社と子会社2社が3社同時に上場するという過去類をみないスキームの実現です。
早速EDINETで3社の有価証券届出書を見てみました。
すると3社とも公募増資はなく、全て売出しのみで、売出人は日本郵政は財務大臣、ゆうちょ銀行、かんぽ生命はそれぞれ日本郵政の100%子会社ですので売出人は日本郵政となっています。
売出株数ですが、日本郵政が396百万株、ゆうちょ銀行が329百万株、かんぽ生命が52百万株。
オーバーアロットメントはいずれも無いようです。
想定発行価格は、日本郵政が1,350円、ゆうちょ銀行が1,400円、かんぽ生命が2,150円。
売買単位は100株1単元ですので、東京証券取引所が有価証券上場規程上の企業行動規範で規定する、上場会社への「望まれる事項」の1つである「投資単位が5万円以上50万円未満となるよう、当該水準への移行及びその維持に努めるよう」求めている水準を満たしています。
今回の上場による市場からの資金吸収額という観点からは、想定発行価格ベースでは、日本郵政が5,346億円、ゆうちょ銀行が4,619億円、かんぽ生命が1,135億円となっており、3社合計で1兆1,100億円となります。ざっと見たところ引受シ団は3社とも61社でトップレフト(主幹事証券)は野村證券さんです。
では想定発行価格ベースでの時価総額はどのような状況でしょうか。
有価証券届出書の最後のページに掲載されている株主名簿をみると、3社の発行済株式総数は日本郵政が45億株、ゆうちょ銀行が45億株(自己株式を含む)、かんぽ生命が6億株。
ですので当該株数に想定発行価格を乗じると、日本郵政の時価総額が約6兆円、ゆうちょ銀行が約6兆3千億円、かんぽ生命が1兆2,900億円となります。
100%子会社である金融子会社の時価総額合計が親会社時価総額を上回るのは、相対的な成長性の違いによるものでしょうか。
因みに2011年以降の上場銘柄での想定発行価格ベースでの時価総額上位は以下のとおりです。
リクルートホールディングス 約1.6兆円
サントリー食品インターナショナル 約1.1兆円
西武ホールディングス 約0.7兆円
日本航空 約0.6兆円
ジャパンディスプレイ 約0.6兆円
当該データからも今回の3社の上場は如何に規模が大きいものかがみてとれます。
上場日は11月4日の予定です。初値の動向等注視していきたいと思います。
(上記はあくまで個人的な感想であり、金融商品等の勧誘等を目的・意図としたものではありませんのでご了承願います。)
(加藤)