日本郵政グループ3社がまもなく上場します。
3社の上場による証券市場への影響については、いろいろな角度から論じられていますが、よく見かけるのは、「知名度が高く、安定した経営基盤を持つ3社の上場により、個人投資家の資金が流入し、証券市場が活性化する」という意見です。
グループ3社の上場後の証券市場がどのような動きを見せるかはわかりませんが、証券市場やIPO市場の裾野が広がることは、長期的なIPO市場の拡大のためには喜ばしいことではないかと思います。
一般的にIPO市場の活性化のための施策として挙げられる項目としては、たとえば
・上場基準等の緩和や関連法制の変更による上場準備会社の負担軽減
・起業のための教育や支援
などがあります。
私はこれ以外に、もう少し長期的な視点から「証券投資教育の充実」も重要ではないかと考えています。
その理由は以下の2つです。
①証券投資教育の充実により、証券投資への関心を高めるとともに、健全な投資スタンス、金融商品に対する知識を普及させることで、個人投資家層の拡大と知識の底上げを図る。
②証券投資教育の実施により、起業家(予備軍)にも投資家としての経験を積ませ、「投資家は上場会社に何を期待しているか」「上場会社として、やってはいけないことは何か」などについて、肌感覚として学ぶ機会をつくる。
①は証券投資教育の直接の目的ですが、上場準備の支援をしていると、②が非常に重要であると感じます。
証券会社や監査法人、そして私たちIPOコンサルタントも、上場準備会社に対して管理体制の充実や内部統制の強化について説明・支援をするのですが、経営者としてピンとくる度合は、どれだけ投資家の立場で考えられるかで決まるからです。
金融知識の普及に関する取り組みとして、たとえば日本証券業協会、日本取引所グループなど証券諸団体による、「証券知識普及プロジェクト」があります。
このような活動は地味で、効果が出るまでには時間がかかりますが、IPOの裾野を広げるために、非常に重要な活動ではないかと思います。
(原田)