本年も残りあと一か月余りとなりました。2015年11月16日現在発表されているIPOの年内上場予定企業数は85社(Qボード、セントレックス、アンビシャス、TPMを除く)です。入っている情報では、本年は100社を超えると言われていた当初の実現は難しく、今のところ90社を超えるものの95社までの間ではないかと言われています。
この時点で上場の公表後に延期又は中止している会社は2社あります。また、上場の公表には至っていない会社で11月から12月に上場を予定していた会社の中でも、延期または中止の会社が数社あるようです。年度では10社を超えるのではないでしょうか。
当初見込みの100社超えよりも少ない原因として、Gumiの問題から業績審査が厳しくなったからだと説明される方もおられます。しかし、それだけではないようです。
上場を延期または中止になった理由は、殆どが審査の途中で内部管理(統制)に問題が発覚した会社のようです。こうなると、再度審査に戻る為には、問題が発生した理由をまとめ、新たに問題が発生しない組織的な改善を行い、さらに改善できたことを実績をもって証明しないといけないことになります。この実績による証明は難しく、問題によっては数年間が必要になることもあります。
主幹事証券会社や東京証券取引所への申請まで来ることが出来ていた会社にとって、この段階でのスケジュールの変更は、これまでの間に多大な時間、労力と費用を掛けて来た事を考えると打撃の大きさは計り知れません。また、社長や経営者だけでなくIPO事務局の方々や準備に係ってきた社員にとって、一気に虚脱感が出てモチベーションの大幅な低下につながります。一つの慰めとしては、ものは考えようで、上場してから問題が発覚した場合は広く世間に問題会社として取り扱われて営業にも支障が出て来ますし、場合によっては社長でさえ辞任せざるを得ない状態にまでなる会社もあることを考えると、不幸中の幸いなのかも知れませんが、、、。
重要なのは、これらの会社の問題は起こるべくして起こっているように思えることです。
以前にもこのブログで記載しましたが、昨今は上場準備期間が短くなってきています。
組織を整理し、その上であるべき管理体制を整備するよりも、早く上場したいために付け焼刃で管理出来ているように見せかけている会社があるのではないでしょうか?
この様な会社は、上場準備をこれからの為に有効な準備期間にしようとする発想に乏しく、資本市場を利用するための重要な視点が抜けている会社なのだと思います。
何度もくどくは記載しませんが、上場会社には成長のための管理体制や開示体制の構築が重要であり、上場準備を今後の為の有効な作業として位置づけて取り組む会社は、時間をかけて回り道をしているように見えるかも知れませんが、実は確実に前に進み、成長する会社なのだと改めて思います。皆様も、IPO準備の位置づけをお間違いなさらないように!
( 鈴木)