先日、ふと思い立って、実家の自室の大掃除をしました。
捨てることができずにとっておいたものを仕分けして、不要なものは捨てることにしましたが、その過程で仕事関係の古い資料が数点「発掘」されました。
そのうちの1つが「店頭市場便覧(昭和63年3月)」です。
店頭市場便覧は、店頭市場(現在のJASDAQ市場の前身)の上場時・上場後に係る規則集です(店頭銘柄は、「上場」ではなく、「店頭登録」と言いましたが、以下「上場」と表記します)。
便覧のページをめくって当時の上場基準を見ている時に目についたのが「登録申請前の合併等の取扱いについて」という項目です。簡単に言うと「店頭市場へ上場準備中の会社は、原則として直前期に合併をしてはいけない」というルールです。
このルールは、「経営への合併の影響を見極めるのに1事業年度は様子を見たい」という審査側の要請からできたものですが、成長中の上場準備会社にとっては「直前期にはM&Aができない」という経営面の制約になっていました。
一方、現在の上場審査では、このような形式的なルールはなく、例えば以下のような観点から実質的な判断が行われます。
①合併の内容や財政状態・経営成績への影響が投資家に十分に開示できるか
②合併後の会社で、経営管理体制が適切に整備・運用できているか
③合併後の利益計画の策定が合理的に行えるか 等
合併の例に限らず、当時の審査では「望ましくないタイプの行為=すべてNG」とされることが多かったように思いますが、現在では、望ましくないタイプの行為であっても、1つ1つを精査し、個別にその是非を判断するのが一般的です。
昔の審査と比較すれば、現在の審査は柔軟で、上場準備会社にとってもメリットがあると思いますが、その反面、案件や取引ごとに個別に資料の準備が必要になり、結論が出るまで時間がかかることもあります。
・・・などと考えている間に、1時間以上も手が止まっていることに気づきました。
大掃除が終わるのには、まだまだ時間がかかりそうです。
(原田)