2017年に入り1か月半が経過しましたが、連日トランプ大統領がメディアを席巻しています。個人的には小忙しい日々が続いているのですが、隙間時間を縫って「サピエンス全史」をKindle版で読了しました。
ヒト属の唯一の現存種であるホモ・サピエンスの200万年前から今日に至るまでの膨大な歴史を、平易な言葉でわかりやすく、俯瞰して纏め上げてしまっているので、長編ではあるもののぐいぐい引き寄せられ世界的中でベストセラーとなっているのも納得です。私にとってはこの本は一種の哲学書に思え、中学生の頃にカミュの「異邦人」を初めて読んだ時と似たようなインパクトがありました。
最後に「特異点(シンギュラリティ)」に関する考察の部分があるのですが、世にあふれる断片的な議論を人類という括りで総括・問題提起されており興味深い内容でした。
シンギュラリティとまではいかなくとも、最近ではオックスフォード大学の准教授が702の職種についてAIに取って代わられる確率を分析した論文も話題になっていますが、果たしてIPOコンサルタントはどうでしょうか。
IPOコンサルタントは、市場経済の新陳代謝を支えるIPOという入学試験に合格するために、「適時開示」という法人としてのスキルを身に付けるためのお手伝いを担っていると自覚しているのですが、そのためには、様々な領域が存在します。単に規程や書類の整備をするだけではなく、投資家との会話言語である会計プラットフォームの構築やそこに集約される情報の流通経路の交通整理、そのためのシステム構築等も助言が求められます。また、現場には様々な制約条件が存在し、さらに、IPO審査の内容は世相を反映して厳しくなったり緩和されたりを繰り返すダイナミズムがあります。
ですので、そもそも「サピエンス全史」にあるような超ホモ・サピエンスが出現してしまえば話は別ですが、こんなに複雑で、だからこそやりがいのあるIPOコンサルタントの領域は、当面はAIにはとって代わらないかなと思いますし、とって代わられないように努力しないといけないなと感じております。
(加藤)