このところ、ヤマト運輸の労務管理の問題やサービス見直しの記事が目に付きます。
ネット通販の拡大と人手不足によりセールスドライバーの労働条件が悪化し、サービス維持のために、宅配総量規制、再配達や時間指定サービスの見直しや配送料の値上げも検討されています。
この問題で特に大きく取り上げられているのは、ヤマト運輸の大口顧客であり、ネット通販最大手アマゾンです。アマゾンの成長に伴い、ヤマト運輸の取扱数量は急激に増え、セールスドライバーの負担も対応の限界に来ていると報じられています。
上場審査の観点からは、ヤマト運輸の労務管理の問題(「長時間労働」「未払残業代」など)にまず目が行きますが、アマゾンの物流体制の問題も非常に重要ではないかと思います。現在のアマゾンの配送体制は質・量ともにヤマト運輸に依存していると思われ、代役を見つけることはなかなか難しいでしょう。
参考までに、東京証券取引所の審査資料であるⅡの部で直接・間接に物流に関係ありそうなパートを思いつくだけ挙げてみます。
・物流拠点の展開方針
・在庫の適正水準及び管理方法
・仕入コスト削減のための具体的施策
・生産計画の立案方法及びその進捗状況の管理方法
・トラブルやクレーム等の状況
・今後2年間の連結損益計画(物流コストの計画など)
・連結キャッシュ・フロー計画及び投資計画(物流センター、システム投資等)
会社によっては、「製・商品及びサービスの特徴」として、自社の物流体制の強みを説明したり、Ⅰの部の「事業等のリスク」「対処すべき課題」などで、物流BCP等について記載する場合もあります。
物流の問題は本業に直結していますので、上場審査を受けるレベルの会社であれば、審査の段階で大きな問題を指摘されることは少ないと思います。
しかし、ひとたび物流上の問題が発生すれば、事業全体に大きな影響が出る項目として注意を払う必要があるのではないかと考えます。
(原田)