IPOの準備期間については、IPO関係者(証券会社や監査法人等)がホームページや書籍で説明されており、準備の開始は直前期末から2年以上前に設定されており、主幹事証券会社(引受証券会社)の関与も同様に2年程度前からと言う表示や説明になっています。同様な期間は東京証券取引所もモデルケースとして挙げています。しかし、実際にはこのようなモデルケースで準備を進めている会社はあまりないのではないかと思います。原因は、支援関係者である監査法人や証券会社の事情と準備会社自身にあります。
一つ目に監査法人関係についてです。監査法人を決定し、経理処理などの業務について早めに検討している場合でも、実際の内容は対応が進んでおらず、IPOに必要な管理体制が整うまでには程遠いケースが多く見受けられます。その結果、直前期に入ってから直前前期の監査証明が出せないと宣告を受けている会社が結構あると耳にしています。これは、準備会社とのコミュニケーションの問題と指導力の問題が大きい例です。
二つ目は、主幹事証券の関係です。一般的な名称では公開引受部と言う部署が指導を行いますが、その部署の関与のタイミングが遅く、2年前に関与するケースは稀で期間が短くなってきているように思います。
これらの原因は、IPO希望社数が多く推移している一方で、IPOを熟知した指導できる人の数が追い付いていない状態が続いていると言う一面もありそうです。
三つ目は準備会社自身であって監査法人や主幹事証券会社が必ずしも悪いわけではありません。準備をしている会社の自主性や主体性がない場合があることに問題があると言えます。準備会社が甘やかされ、スケジュールの通り作業が進まない(進める気がない)ことにも原因がありそうです。(過去のブログでニュアンス度々伝えています。)このような会社は大抵の場合、あたふたして混乱を起こし、上場が数年遅れる可能性が高くなります。
弊社としてはモデルケースのようなスケジュールをどのような場合でも当てはめるべきであるとは考えていません。重要なのは上場する前に上場会社に相応しい会社になっていることです。最低必要なのは、投資家に対してタイムリーに正確な情報開示が出来る体制構築が出来ていることの判断が出来ていることです。
弊社の準備支援は、会社側の立場になり、社内の実態を把握しながら状況に応じた支援が出来るところに強みがあります。また、上場審査では審査範囲が広く、上場特有の質問などがありますので、準備会社としては不慣れなため戸惑いがあるのが普通ですが、弊社の強みはここにもあり、準備会社の方々のストレスを軽減しながらスムースに審査対応が可能になると自負しております。
上場のためには、今後の事業の戦略を検討してコーポレートストーリーを練り、成長の姿を見せるのは重要ですが、IPOの準備については検討が不十分なまま開始するケースが多いように思います。上場準備のために必要とする期間は会社ごとに違ってきます。準備期間を有効な作業にして効果を出すためにも、開始前に十分検討する事が一般的になればと願っています。
(鈴木)