今年も1年を振り返る季節がやってきましたが、平成最後の年末でもあるため、平成を振り返る企画も少しずつ出始めました。年が明けても平成はまだ続きますが、この30年間でIPOの何が変わったか、思いつくままに書き出してみました。
その中で、誰に聞いても上位に入りそうなのは以下の2つです。
・マザーズ市場などの新興市場開設
・インターネット専業証券による新規上場株式の引受・販売開始
この2つは、IPOの候補会社と投資家のそれぞれの側から、IPOの裾野を広げるのに大きく貢献したと思います。
また、ちょっと変化球になりますが「インサイダー取引規制の施行」もリストに入れてみました。
インサイダー取引規制は、昭和62年(1987年)に起きた、いわゆる「タテホ化学工業事件」をきっかけに、平成元年(1989年)4月1日に施行されました。
それ以前には、インサイダー取引を直接規制する法律はなく、今から考えるとずいぶん自由な売買が行われていたようです。
たとえば、昭和の終わりに出版された本の中に以下のような記載があります。
(以下、枠内は引用です。)
知人の1人で通産省の課長は、その職務上入手したハイテク分野の情報を活用して株式投資を楽しんでいるが、株に対するセンスの良さと国家の最高、最新の情報が武器になっている。こちらは下手な政治家や証券マンなど足もとにも及ばないうまさだ。 これを公務員としてあるまじき……などと目くじらを立ててみてもはじまるまい。区役所の戸籍係にはない役得である。 |
(引用元:安田二郎著「安田二郎の明解!株入門講座」廣済堂出版 1986)
当時としては珍しくなかったのかも知れませんし、表現にはかなり神経を使っておられると思いますが、今の基準で考えると「突っ込みどころが多すぎる」内容です。
平成30年には、上場申請会社の役員等にインサイダー取引規制に関するeラーニングの受講が義務づけられているなど、誰が予想できたでしょうか。
来年には、「平成」の次の新しい元号の時代がやってきます。
西暦で考えれば、来年は「今年の次の年」に過ぎないのかも知れませんが、私は、改元には何か感じるものがあります。
来年はマザーズ市場開設20周年という節目の年でもありますし、IPOにとって、新時代の幕開けの年となることを期待しています。
(原田)