日本取引所自主規制法人は6月に理事長が佐藤隆文氏から細溝清史氏へ変わる予定と発表しました。
IPOの審査承認は、最終的に理事会で決定されます。過去は理事会に上る前に審査は実質完了しており、この場で延期されることは稀でした。しかし、2016年頃は理事会で承認されない会社が出始めました。2016年10月19日に私はブログで「東証の対応に戸惑いの声」として少しだけ触れました。
理事会で延期になること自体に問題があるとは思いませんが、IPOのスケジュールを考えると、もう少し早めに対処してあげないと、上場申請会社は既に届出書や目論見書の校了が終わるか、或いは、印刷を始めているケースもあり、使用出来ないことにより損失が生じることになります。また、業務上の混乱も相当大きくなります。審査部の方ではその為の対応策として、問題になりそうな会社については理事会開催前に理事会関係者に事前に説明するなどの工夫をするようになりました。(その後、理事会案件の基準を設けているようです。)
これらに関連して当時の主幹事証券会社や自主規制法人の審査部では混乱が生じておりました。過去のブログに記載している通り、例えば、主幹証券会社は事前に問題を解決すべく改めて審査部に事前相談対応をしていました。その際、審査部は理事会を意識し過ぎたのだと思われますが、過去に承認されていた事項を否定したり、タイムリーな回答が出来なくなったり、方向性がはっきり示されず、何度も質問が小出しに出るなどの支障が出ていました。しかし、今は理事会に関する混乱はほぼ収まっています。少し影響が残っているとすれば、何かと主幹事証券から東証への事前相談が多くなっていることでしょうか。
いずれにしても、理事長変更によるIPOの審査に与える影響が出ないように配慮いただけると有り難いですね。審査部の方々も意識はしていると思いますが、急な混乱のないように期待しております。
(鈴木)