寒暖の差が激しい今年の冬ですが、ようやく春が近づいてきているようです。
東証のホームページでは先週あたりから連日3月上場銘柄の発表が続いております。
見事上場承認を手中に収めた会社さんは、現在ロードショーにて機関投資家との対話を日々ブラッシュアップされているのではないかと思います。
投資家との対話といえば、昨年に続き今年も有報等の開示に関して大きな改正がなされています。今回は昨年の改正に比較してより開示の深度が大きくなっているように感じます。
金融庁HPの1月31日付のリリースに開示されているパブリックコメントでは実に104ものコメントとそれに対する金融庁の考え方が提示されており、読むだけでも一苦労ですが当該改正に対する実務サイドの関心の高さが窺えます。
今回の改正は大きく以下の3点となります。
①財務情報及び記述情報の充実
②建設的な対話の促進に向けた情報の提供
③情報の信頼性・適時性の確保に向けた取組
当該改正は1月31日付で公布・施行されており、「②建設的な対話の促進に向けた情報の提供」に関する項目等については、今年の3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用となり、それ以外の項目は来年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用となります。
改正項目は多岐にわたり、また、資本コストや株主総利回り等新しいテクニカルワード等も含め質的にも重いので、上場企業の開示担当の皆さまにおかれましては、単に開示府令の記載上の注意を確認するだけでなく、今般の改正の背景を理解するために是非昨年6月28日に公表されている金融審議会の「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告(いわゆるDWG報告)をご確認されることをお勧めいたします。
また、今般の改正に関し、企業が経営目線で経営方針・経営戦略等、経営成績等の分析、リスク情報等を開示していく上でのガイダンスとして金融庁が別途取りまとめている「記述情報の開示に関する原則」(現時点では案の段階)についてもご確認され、今後の開示に関する戦略を練っていかれる必要があるかと思います。
また、IPO準備中の会社さんにおかれましては今後の上場会社の先行開示事例をつぶさに読み比べ、投資家に対して自社の理解が進むよう、ご一緒により充実した開示に向けて準備を進めていければと思います。
(加藤)