俳優の新井浩文さんとピエール瀧さんが不祥事を起こして逮捕され、その余波で二人が出演する映画やドラマ、関連するDVD等が公開中止や販売自粛にまで発展しそうな状況です。
映画についていうと、スポンサーは方針決定にあたり、まず採算を考えるでしょう。
出演俳優が不祥事を起こした映画はイメージが悪く、映画館によってはこのような作品の上映自体を避けるところもあるようです。
もちろん、作品の芸術性が高ければ事件は関係ないとも言えますが、そのような思い切った決断をするより、公開中止にする方が結果は良いかも知れません。
一方、製作スタッフや観客側からは、「俳優個人の不祥事は良くないことだが、他の多くの方が関わっている映像作品を公開中止にする必要はないのでは?(=作品に罪はない)」という声が上がっています。
また、それぞれの関係者はレピュテーションにも注意を払わなければなりません。
「不祥事を起こした俳優が出演する映画に出資したのか?」「不祥事を起こした俳優と共演してイメージが悪い」といったクレームは必ずあるでしょう。このような意見が大勢を占めるようになると、関係者のレピュテーションにまで影響が出ます。
映画の製作には、出資者、出演者、監督や製作スタッフ、観客などのステークホルダーがいて、それぞれの利害を調整する必要があります。
利益を重視するのか、レピュテーションを重視するのか、重視する利益は「長期」か「短期」かで答えは変わるかも知れません。
映画の公開中止の問題は、コーポレート・ガバナンスの縮図のような気がします。
・・・それにしても、全部「お蔵入り」はもったいないような気がします。
(原田)