【鈴木】IPOの視点より市場統合について

現在、市場構造の在り方についての検討が続いています。

この議論には、新興企業の育成、上場後の市場価値の向上、さらに、国内外からの多くの投資家の支持を得られるようにして、取引所としての国際競争力の強化方法の検討など、多くの改革の側面があります。その為、まとめるのは困難が伴います。以前より検討の必要があると考えられていましたが、手が付けられずに今日に至っていました。

 

弊社はIPOの準備支援、特に管理体制の整備などの支援が中心であるため、市場を通じた新興企業の育成について最も関心があります。今回の市場統合議論は全体的な枠組みを検討しているものの、いわゆる高い成長性を有する企業のIPOとその後の育成と言う観点からはもう少し検討が必要だと思えます。

 

3月末に東京証券取引所が発表した「現在の市場構造を巡る課題(論点整理)」の中での市場区分はA~Cの以下の通りです。

A市場:一般投資者の投資対象としてふさわしい実績のある企業

B市場:高い成長可能性を有する企業

C市場:国際的に投資を行う機関投資家をはじめ広範な投資者の投資対象となる要件を備えた企業

 

B市場はマザーズ市場に近い市場を想定しているのだと思いますが、次のステップアップ市場はC市場となることが想定されているようです。尚、A市場とB市場は並列の関係を想定している模様です。以上の3市場を想定し、C市場の下位市場はAとBの各市場が並列的に置かれることになると階層が大きくは2段階になると言うことです。

 

今までの構造について東証は「現在の階層的な市場構造は、上場会社の中長期的な企業価値の向上や、健全な内部管理体制の維持・強化を動機付ける枠組みとしても重要な機能を果たしてまいりました・・・」と説明しており、確かにその通りだと評価できると思います。

すなわち、マザーズに上場し、ステップアップの際には管理体制をより強化した上で審査に臨むと言う枠組みは、成長の土台を作る意味でも重要な役割を果たしてきたのです。問題はマザーズ市場から1部市場へのステップアップには時価総額が40億円と言う形式基準が甘過ぎたことなのです。今回の改正では時価総額基準を250億円にする案が有力だと報道されています。だとすると、今度は基準がきつくなりすぎで殆どの会社はステップアップ出来ない可能性が出てきます。その際の問題は、動機付けが無くなることにより、上場後に気が緩み、内部管理体制、経営管理体制の維持・強化も緩んでしまう可能性があると言うことです。もちろん、そんなことはあってはいけないのですが、巨大優良企業と言われている会社でさえ不祥事が頻発していることを考えると、やっと上場した会社の意識は想像が出来ます。米国と違い、訴訟や罰則の緩い日本ではなおさらではないでしょうか。

 

米国では未上場企業でも多額の資金調達が実現しています。上場前から資金手当てがしやすいのです。そして、上場によりさらにスピードを上げて成長していきます。日本は未上場段階での資金調達は少額であることが多く、上場により資金の調達を行うだけでなく、信用力のアップや優秀な人材採用が出来る環境を作って成長を加速させるステップを得るケースが多いと思われます。

これらを考えると、B市場に上場した会社は、ステップアップのための審査を通じて管理体制の確認を行う。すなわち、審査があることで成長の為の土台を作る動機にもすることでより一層の企業の成長を育成促進に繋ぐことが出来ると思われます。従いまして、日本の特殊性を勘案し、C市場とB市場の間にもう一つの市場区分を設けることを検討した方が良いのではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

鈴木

 

2024IPO社数(予定を含む)=24*

2023IPO社数(通期)=96*

 

3月15日現在

市場別

2024

(含予定)

2023

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

0

3

21

0

0

1

0

2

23

66

5

1

1

0

 Qボード 0 1

合計

   25

99

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

 

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2023IPO社数(通期)=96*

2022IPO社数(通期)=91*

 

市場別

2023

2022

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

2

23

66

5

1

1

0

3※1

142

70※3

2

0

2

1

 Qボード 1 0

合計

   99

92

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

2022IPO社数=91

2021年IPO社数=125社

 

市場別

2022

 

2021

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

2

10

60

1

6

東証2

3

8

マザーズ

10

93

JASDAQ

メイン-名

1

2

16

名証2

0

3

ネクスト-名

セントレックス

2

0

1

Qボード

アンビシャス

0

3

合計

92

130

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。