自宅の近所の公園も少しずつ紅葉が進んできました。気付けば今年も残り1カ月少々となりました。
年内上場のIPO承認がひと通り出揃ってきている状況で本日時点では暦年ベースで92件となっており、概ね例年並みの水準となりそうです(中止1件を除き、TOKYO PRO Marketを含みます)。
さてこの時期、上場準備中の会社、特に3月決算の会社さん等は、J-SOXの業務プロセスに関する文書化や整備評価を行われている会社が多いのではないかと思います。私の方でも、毎年この時期はお客さんと一緒に業務フローやリスクコントロールマトリックスの整理やその評価のお手伝いをすることが多いです。
ちなみに皆さんは自社のフローチャートをじっくりと眺められたことはありますでしょうか?
J-SOXと表現してしまうとやたら建付けが理屈っぽくて、敬遠しがちな方も多いと思いますが、フローチャート自体は自社の営みを文字通り業務の流れにそってチャート化したものであって、特段難しいものではないはずです。
現場でお手伝いしていると、社内でたとえベテランの方であっても、ご自身の管轄外の業務の流れは把握されていないことが多かったり、案外無駄な作業が散見されたりします。どうしてそうなるのでしょうか。
その一因としては、日本の教育サイドにも問題があるのではないかとも思ったりします。自分自身を振り返っても、学生時代に会社の営みに関するロールプレイングを学習する場はなかった気がします(単に勉学をおろそかにしていただけとの疑惑もありますが)。
よく日本人のホワイトカラーの生産性は低いなどと言われますが、根本的な原因はこのあたりにあるのではないかとも思います。
IT、ICT、DXも大事ですが、その辺に頼らなくとも、しっかりと業務を見直して工夫をこらすだけでも生産性の向上が図られる余地は多分にあるのではないかと思います。
世間では働き方改革が声高に騒がれていますが、これといった打ち手がないまま理念のみ先行している現場が多いと聞きます。ここはひとつお上に提案ですが、J-SOXという制度に改めて光をあてて、単に財務リスクの顕在化を低減させるだけでなく、会社の業務の流れに存在するムリ・ムラ・ムダを洗い出してホワイトカラーの生産性向上につなげる機運としてはいかがでしょうか。
素人考えですが、業務改善のKPIを設定して公表させ、実現した企業には税額控除等の恩恵を与えるといったようなインセンティブはいかがでしょう。
来年4月からはいよいよ同一労働同一賃金の世界となります。ベテランの方が輝きを失わないためにも組織横断的な業務フローが全社員に浸透していることが当たり前といった社会を実現し、だからこそ場数を踏んだベテランの方々が業際を上手くつないで活躍するといったような社会を実現すべきではないか、と忙殺の合間に感じてしまう今日この頃です。
ということはつまり、私自身の生産性をもっと上げないといけないということですね。。。
(加藤)