【鈴木】またもIPO後半年で「不正(粉飾)会計」か?

AIスタートアップの株式会社オルツは2024年10月グロース上場した約半年後の4月27日、売上金額の不正が疑われたため第三者委員会を設置し、過去5期分の連結決算について調査中とのことです。元社員(元内部監査室長)による内部告発もあることから粉飾の可能性が高いと思われています。売上の90%以上が粉飾の可能性があると指摘している方もいるようです。

 

この事件で思い出すのは、株式会社エフオーアイ(その後破産)事件です。2009年11月20日に東証マザーズに上場し、約半年後の2010年5月18日に粉飾決算が明らかになりました。売上の97%が虚偽でした。株式会社オルツと違う点は、IPO前の審査中に東証及び主幹事証券会社に対し、「注文書偽造による巨額粉飾決算企業の告発」と題する匿名の投書があったことや、上場申請は中止を3回交え、結果的に審査を潜り抜けてしまったことです。

 

詳細は割愛して部分的なものだけ記載します。まずは、金融商品取引法違反(有価証券届出書の虚偽記載)として元社長に懲役5年、C元営業担当取締役に懲役4年の実刑判決が言い渡されました。株主による損害賠償訴訟では、常勤の役員だけではなく、非常勤取締役や非常勤監査役も責任が認められたようです。監査法人は早い段階で和解しています。主幹事証券会社は最高裁まで争いましたが、責任を負うことが確定した初めての例となりました。ちなみに、東京証券取引所や自主規制法人の賠償責任は否定されましたが、自主規制法人については、上場審査にあたり投資家に対して注意義務を認めました。

 

この事件後、証券会社(特に主幹事)や自主規制法人は上場審査を厳しく慎重になったのは言うまでもありません。それは、売上だけでなく広範囲に及びます。それでも、今回の事件が起こりました。もちろん、違いはありますが、今後はさらに審査が難しくなる可能性が高くなります。主幹事証券会社は資本市場の活性化や日本経済の成長の為にもIPOを支援しているのに、気の毒でなりません。

 

不正は審査面の改善だけでは見抜けないこともあり、IPOを希望する会社の経営者の意識を変えないといけないのだと思います。方法は賠償等の罰を今以上に大きくすること等により、歯止めを持たせることなども検討する必要があるのかも知れません。これ以上、新興市場の信頼性を失わないようにしてほしいものです。

 

鈴木

 

IPO状況5月30日現在

2025IPO数(予定を含む)=28

2024年IPO数(通期)=86社*

 

市場別

2025

(含予定)

2024

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

ネクスト-名

アンビシャス

2

5

18

1

4

13

64

1

4

1

 Qボード 1 3

合計

    28

  90

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

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過年度のIPO状況

2024IPO数(通期)=86* 

市場別

2024

(通期)

2023

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

4

13

64

1

0

4

1

2

23

66

5

1

1

0

 Qボード 3 1

合計

    90

  99

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

2023IPO(通期)=96* 

市場別

2023

(通期)

2022

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

2

23

66

5

1

1

0

3※1

142

70※3

2

0

2

1

 Qボード 1 0

合計

   99

   92

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

 

2022IPO数(通期)=91 

市場別

2022

 (通期)

2021

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

2

10

60

1

6

東証2

3

8

マザーズ

10

93

JASDAQ

メイン-名

1

2

16

名証2

0

3

ネクスト-名

セントレックス

2

0

1

Qボード

アンビシャス

0

1

3

合計

  92

 130

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。