コーポレートガバナンス・コードでは、株主総会における権利行使に関して
・上場会社は、株主総会において株主が適切な判断を行うことに資すると考
えられる情報については、必要に応じ適確に提供すべきである。
・上場会社は、株主との建設的な対話の充実や、そのための正確な情報提供
等の観点を考慮し、株主総会開催日をはじめとする株主総会関連の日程の
適切な設定を行うべきである
と規定しています。(補充原則1-2①、1-2③)
このような考え方に対して、金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループが平成28年(2016年)4月18日に公表した報告では、たとえば以下の様な取組みにより、株主との建設的な対話を充実させていくことが望まれるとしています。
・株主に対する情報提供を充実するため、株主総会前のできるだけ早い時期に有価証券報告書を開示する
・株主総会議案の十分な検討期間を確保するため、適切な株主総会日程の設定や事業報告・計算書類等の早期提供等
を行う
特に「適切な株主総会日程の設定」に関しては、株主が議案の十分な検討期間を確保できるための施策として3月決算会社が定時株主総会を7月に開催する場合を例示しています。
このように、株主総会議案の十分な検討期間を確保する目的で、「決算日後3ヶ月以内に定時株主総会を開催する」(注)という従来の実務を見直そうとする考え方を「株主総会日程の柔軟化」と言います。
(注)従来の実務では、決算日を定時株主総会の議決権行使基準日とするのが一般的である一方、会社法では、権
利行使日は基準日から3ヶ月以内と定められている(会社法 第124条 第2項)ため、ほとんどの3月決算会
社の定時株主総会は6月末までに開催されています。
(有価証券報告書等の株主の状況の記載時点)
3月決算会社が7月に定時株主総会を開催する場合、議決権行使基準日は決算日より後の日付(=決算日とは別の日付)となります。
決算日と議決権行使基準日の2時点の株主の状況を管理することによる会社の事務負担を軽減するため、有価証券報告書及び事業報告の株主の状況の記載時点として、議決権行使の基準日を使用することが認められています。
関連項目:コーポレート・ガバナンス、コーポレートガバナンス・コード、コーポレートガバナンス報告書