決算短信とは、通期決算もしくは四半期決算に関する決算発表を行う際に作成・配布する資料をいいます。
決算短信には該当する期間の決算の概要の他、業績予想や配当予想がまとめられています。
(決算発表の実施)
取引所の規則により、上場会社は、事業年度もしくは中間会計期間または連結会計年度もしくは中間連結会計期間に係る決算の内容が定まった場合は、取引所所定の「決算短信」または「第2四半期決算短信」により、直ちにその内容を開示しなければなりません。(有価証券上場規程 第404条 第1項)
また、上場会社は上記のほか、四半期累計期間(第2四半期累計期間を除く)または四半期連結累計期間(第2四半期連結累計期間を除く)に係る決算の内容が定まった場合は、それぞれの「四半期決算短信」により、直ちにその内容を開示しなければなりません。(有価証券上場規程 第404条 第2項)
決算短信等による決算内容の開示は、TDnetを利用して行います。(東京証券取引所 有価証券上場規程 第414条 第1項 等)
(注)TDnet: Timely Disclosure network(適時開示情報伝達システム)
決算短信は、サマリー情報と添付資料で構成されます。
決算短信の基本的な構成は、以下のとおりです。(連結財務諸表作成会社(日本基準)の場合)
※ 東証は、決算短信において、速報性が求められる事項(サマリー情報、経営成績・財政状態の概況及び今後の見通し並びに連結財務諸表及び主な注記)に限定して記載を要請しています。
サマリー情報 (注) |
■取引所所定の決算短信(サマリー情報) 決算短信の「表紙」の部分。 社名、代表者名の他、連結経営成績、連結財政状態、連結キャッシュ・フローの状 況、配当の状況、業績予想等を記載 |
添付資料 |
■ 経営成績等の概況 ●当期の経営成績・財政状態の概況 ●今後の見通し ●継続企業の前提に関する重要事象等 ■ 会計基準の選択に関する基本的な考え方 ■ 連結財務諸表及び主な注記 ●連結財務諸表(B/S、P/L等、S/S、CF計算書) ●継続企業の前提に関する注記 ●会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示 ●セグメント情報、1株当たり情報、重要な後発事象 |
(注)東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領等」(2024年4月)をもとに作成(以下同じ)
(第2四半期(中間期)決算短信の構成)
第2四半期(中間期)決算短信は、サマリー情報と添付資料で構成されます。
第2四半期(中間期)決算短信の基本的な構成は、以下のとおりです。(連結財務諸表作成会社(日本基準)の場合)
※第2四半期(中間期)決算短信は、金商法に基づく半期報告書に先立って決算の内容を迅速に開示する速報としての役割を担っており、速報性が求められる事項(サマリー情報、並びに中間連結財務諸表及び主な注記)に限定して記載を要請されています。
サマリー情報 |
■取引所所定の第2四半期決算短信(サマリー情報) 第2四半期決算短信の「表紙」の部分。 社名、代表者名の他、連結経営成績、連結財政状態、連結キャッシュ・フローの状況、配当の状 況、業績予想等を記載 |
添付資料 |
■ 中間連結財務諸表及び主な注記 ●中間連結財務諸表(中間B/S、中間P/L等) ●継続企業の前提に関する注記 ●株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記 ●中間連結財務諸表の作成に特有の会計処理の適用 ●会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示 ■ その他 ●継続企業の前提に関する重要事象等 |
(第1・第3四半期決算短信の構成)
第1・第3四半期決算短信は、サマリー情報と添付資料で構成されます。
第1・第3四半期決算短信の基本的な構成は、以下のとおりです。(連結財務諸表作成会社(日本基準)の場合)
※第1・3四半期決算短信では、有価証券報告書や半期報告書などの法定開示が行われないことを踏まえ、「四半期財務諸表等の作成基準」に準拠して作成した四半期財務諸表等や、「経営成績等の概況」等の記載が義務づけられています。
サマリー情報 |
■取引所所定の第1・第3四半期決算短信(サマリー情報) 第1・第3四半期決算短信の「表紙」の部分。 社名、代表者名の他、連結経営成績、連結財政状態、配当の状況、業績予想等を記載 |
添付資料 |
■ 経営成績等の概況 ●当四半期連結累計期間の経営成績等の概況 ●継続企業の前提に関する重要事象等 ■ 四半期連結財務諸表及び主な注記 ●四半期連結財務諸表(四半期B/S、四半期P/L等) ●会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示 ●四半期連結財務諸表の作成に特有の会計処理の適用 ●セグメント情報等の注記 ●株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記 ●継続企業の前提に関する注記 ●キャッシュ・フロー計算書に関する注記(連結キャッシュ・フロー計算書を作成しない場合) ●その他の事項 ■ その他 ●公認会計士又は監査法人によるレビュー報告書 |
(監査法人の監査等)
(1)決算短信は、公認会計士又は監査法人の監査の対象外です。
(2)第2四半期(中間期)決算短信は、公認会計士又は監査法人のレビューの対象外です。
(3)第1・第3四半期決算短信
①第1・第3四半期決算短信に添付される四半期財務諸表等に対する公認会計士等によるレビューは原則として任意です。
②ただし、財務諸表の信頼性確保が必要と考えられる場合(注)には、四半期財務諸表等に対する公認会計士等によるレビューが義務付けられています。(有価証券上場規程 第404条第3項)
③第1・第3四半期決算短信に添付する四半期財務諸表等に対するレビューが実施された場合には、公認会計士等が作成したレビュー報告書を、第1・第3四半期決算短信に添付する必要があります。
(注)財務諸表の信頼性確保が必要と考えられる場合とは、以下の場合をいいます。
(有価証券上場規程施行規則 第405条 第2項)〜㈱東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信作成要領等(2024年4月)より
a 直近の有価証券報告書、半期報告書又は四半期決算短信(レビューを受ける場合)において、無限定適正意見(無限定の結論)以外の監査意見(レビューの結論)が付される場合 b 直近の内部統制監査報告書において、無限定適正意見以外の監査意見が付される場合 c 直近の内部統制報告書において、内部統制に開示すべき重要な不備がある場合 d 直近の有価証券報告書又は半期報告書が当初の提出期限内に提出されない場合 e 当期の半期報告書の訂正を行う場合であって、訂正後の財務諸表に対してレビュー報告書が添付される場合 |
(決算発表の時期について)
(1)通期決算
取引所は、決算発表の時期について「遅くとも決算期末後45日以内、決算期末後30日以内での開示が望ましい」としています。(決算発表日が、決算期末後50日を超える場合は、開示がその時期になった理由及び翌年度以降の開示時期の見込み・計画を決算発表後遅滞なく開示しなければなりません)
(2)第2四半期(中間)決算
取引所は、第2四半期(中間)決算発表の時期について「金商法上、半期報告書を中間期末後45日以内に提出しなければならないことから、「決算発表早期化の要請」の対象としていません。
(3)第1・第3四半期決算
第1・第3四半期の決算内容の開示は、有価証券報告書や半期報告書等の法定開示に対する速報としての位置づけではないことから、「決算発表早期化の要請」の対象となっていませんが、半期報告書の法定提出期限(中間期末後45日以内)に準じて、各四半期終了後45日以内に開示することを原則としています。
関連項目:定性的情報、半期報告書、決算短信と四半期決算短信の比較表