「IR(Investor Relations)」は、「投資家向け広報」とも呼ばれ、投資家に対し、企業の財務状況など投資判断に必要な情報を提供し、投資家との良好な関係を構築するための各種の活動を指します。
類似する概念として、「ディスクロージャー」がありますが、「ディスクロージャー」は、法令や規則に基づき強制されるもの(制度開示)であるのに対し、IRは、対話(情報提供)を充実させ、アピールしたい内容を積極的に開示するもので、「任意開示」という位置付けです。
(参考)SR、PR
IRに類似する言葉として、SR(Shareholder Relations)やPR(Public Relations)があります。IRとSR、PRの範囲には重なる部分がありますが、概念的には以下の点で異なります。
IR |
投資家に対し、企業の財務状況、経営戦略等の投資判断に必要な情報を提供し、投資家との良好な関係を構築するための各種の活動 |
SR |
株主に対し、企業の財務状況、経営戦略等の情報(議決権行使に必要な情報を含む)を提供し、株主との良好な関係を維持・強化するための各種の活動 |
PR |
会社を取り巻く社会に対して、企業理念、経営方針、事業活動・財務状況等の情報を提供し、株主、従業員、取引先、地域住民等、会社の関係者との良好な関係を構築するための各種活動 |
IR活動は、投資家に事業内容や経営戦略を伝え、会社の認知度を高めることからはじまり、会社の強み・弱み・課題などとともに魅力を理解してもらい、最終的には適正な株価形成に資することが目的とされます。(必ずしも良い情報には限らず、悪い情報についてもIR活動の中で投資家に説明してくことになります)
IR活動には、経営トップが積極的に取り組むべきものとされています。
具体的な活動としては、投資家向け説明会の開催、IRウェブサイトの構築、各種IR資料の作成、アナリストとの個別ミーティングなどを行います。
(IR活動に関する上場審査)
取引所は、上場会社のIR活動を重要視しています。
そのため、上場申請書類で、上場後のIR活動に関する方針や体制整備状況等について記載を求めています。
● 上場申請書類でのIRに関する記載事項
市場 |
項目 |
記載事項等 |
東京証券取引所(グロース) 各種説明資料 |
IR活動について |
・IR活動に関する基本方針 ・上場後のIR活動に向けた体制整備の状況(担当部署、担当人員等) ・上場後のIR活動の予定 |