IPOディスカウントとは、新規上場時ファイナンスの公開価格決定プロセスにおいて、想定される時価総額に対して、一定範囲のディスカウントを行い公開価格を決定すること、もしくはそのディスカウント部分のことをいいます。
(IPOディスカウントの意義)
IPOディスカウントが行われるのは、以下のような理由によるとされています。
① より多くの関心・需要を喚起する
・従来、市場評価のなかった株式の適正価格を発見するために、価格算定能力の高い投資家の関心を高め、価格に関する、より多くの情報を入手する
・一気に大量に供給される株式の消化と、流通市場への円滑な移行を促進する
② 相対的な情報不足への対応
新規上場会社は既存の上場会社に比べ、投資家が入手できる情報が乏しいことから、IPOディスカウントにより、情報収集能力に劣る投資家の投資意欲を換気する
③ 上場日までの期間リスクへの対応
ブックビルディングの標準的な日程では、ブックビルディングの仮条件価格帯決定から上場日まで、概ね3週間を要します
④ その他
(想定発行価格決定時のIPOディスカウント)
上場時ファイナンスの際に、新規上場会社が財務局に提出する有価証券届出書には、発行価額の総額の見込額等の算出のために、想定発行価格を記載します。(注)
この想定発行価格は、以下のようなプロセスを経て決定されます。
① 主幹事証券会社は、発行会社の事業内容・利益計画の検討、類似会社との比較等を行い、上場後の想定される時価総額を算出する
② 主幹事証券会社は、①で算出した時価総額にIPOディスカウントを加味した価格(帯)を算出し、想定発行価格案として会社に提示
③ 会社と主幹事証券会社が協議の上、想定発行価格を決定
(注)想定発行価格の記載された目論見書を使用して、会社はロードショーを実施し、プレ・マーケティングの結果を勘案して、ブックビルディングの仮条件価格帯が決定されます。
関連項目:有価証券届出書、目論見書、ロードショー、ブックビルディング、発行価格、引受価額