取締役会は、取締役会の専決事項として「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」について決定します。
特に大会社である取締役会設置会社(注)は、上記事項について決議をしなければなりません。(会社法 第362条 第4項、第5項)
この「株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するための体制」のことを「(会社法の)内部統制システム」などと呼ぶことがあります。
(注)監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社の場合は、大会社であるかどうかに関わりなく、内部統制システムの決議が義務づけられています。(会社法第399条の13 第2項、第416条第2項)
(法務省令で定められた事項)
会社法施行規則 第100条では、「株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するための体制」(以下、「内部統制システム」)とは、以下に掲げる体制であると定められています。(監査役設置会社の場合)
(注)上場会社の中には、上記の項目の一部または別項目として、例えば以下のような項目を追加している会社があります。
・金融商品取引法に基づく財務報告の信頼性を確保するための体制
・反社会的勢力を排除するための体制
(上場準備における内部統制システムの整備)
取引所は「企業行動規範」の遵守すべき事項として「「内部統制システム」整備を決定するとともに、当該体制を適切に構築し運用するものとする」としています。
したがって、上場準備会社においても体制整備に向けた取組み等を行う必要があります。
(申請書類で求められる記載項目)
●Ⅱの部
東京証券取引所(プライム市場、スタンダード市場)のⅡの部には、「内部統制システム」に関する以下の事項を記載する必要があります。
①「内部統制システム」の整備の決定についての取締役会決議日
②決議後に当該体制の構築・運用について特筆すべき事項
●各種説明資料
東京証券取引所(グロース市場)の各種説明資料には「内部統制システム」に関する以下の事項を記載する必要があります。
①「内部統制システム」の整備の決定についての取締役会決議の状況(決議日・決議予定日等)
②「内部統制システム」に関する基本的な考え方及びその整備・運用状況又は準備状況(対応部署、準備スケジュール、現状において明らかになった課題・改善点等がある場合はその内容を含む)
関連項目:コーポレート・ガバナンス、独立役員、コンプライアンス、企業行動規範