指名委員会等設置会社とは、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を置く株式会社のことをいいます。(会社法 第2条 第12号)
指名委員会等設置会社制度は、株式会社のガバナンス機構の1形態で、会社は、会社のガバナンス機構について、従来型の監査役(会)設置会社、指名委員会等設置会社(旧 委員会等設置会社)及び監査等委員会設置会社の中から選択することになります。
(指名委員会等設置会社の概要)
指名委員会等設置会社制度は、経営執行と監督を、明確に分離させるとともに、①取締役候補の決定、②執行役及び取締役(執行役等)の職務の執行の監査、③執行役等の個人別の報酬等の内容の決定等、コーポレート・ガバナンス上の重要事項を、社外取締役が過半数を占める委員会に行わせることで、より強力なガバナンスの発揮を企図した制度です。
(1)指名委員会等設置会社の取締役及び取締役会
指名委員会等設置会社の取締役は、会社の支配人その他の使用人を兼ねることができず(会社法 第331条 第4項)、また、会社法等に別段の定めがある場合を除き、指名委員会等設置会社の業務を執行することができません。(会社法 第415条)
指名委員会等設置会社の取締役会は、以下の職務を行います。(会社法 第416条 第1項)
① 経営の基本方針の決定等の業務執行の決定
② 執行役等の職務の執行の監督
(2)委員会の権限等
各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければなりません。(会社法 第400条 第3項)
各委員会の権限は、以下のとおりです。(会社法 第404条 第1項~第3項))
指名委員会 |
株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容の決定 |
監査委員会 |
・執行役等の職務の執行の監査及び監査報告の作成 ・株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再 任しないことに関する議案の内容の決定 |
報酬委員会 |
執行役等の個人別の報酬等の内容の決定 |
(注)監査委員会の委員は、指名委員会等設置会社もしくはその子会社の執行役もしくは業務執行取締役または指名
委員会等設置会社の子会社の会計参与もしくは支配人その他の使用人を兼ねることができません。(会社法
第400条 第4項)
(3)執行役
指名委員会等設置会社には、1人または2人以上の執行役を置かなければならず、執行役は取締役会が選任します。(会社法 第402条 第1項、第2項)
執行役は、①取締役会から委任を受けた会社の業務の執行の決定及び②会社の業務の執行を行います。(会社法 第418条)