最近はIPOの準備の為に、IPOコンサルに準備依頼をする会社が相当増えているようですが、どのような依頼の仕方が良いと思われますか?
IPO準備会社が思いつく依頼し易い切り口は、申請書類の中での部分的な作成依頼ではないでしょうか。例えば、Ⅰの部だけ、Ⅱの部だけ、各種説明資料だけ、規程集だけなどの作成依頼ですが、例外はあるもののこれがベストだとは思えません。
そもそも申請書類は証券会社や取引所が審査をするために当初に提出する書類です。初めにその会社の企業活動全般を理解するための書類なのです。それら書類を精査した上で質問を出してきます。どのような質問になるか、審査がどのように進むかは書類の出来で変わりますので、非常に重要な書類なのです。
中でもⅡの部を作成するには、様々な書類が必要になります。コンサルによっては、正しいか間違いかは関係なく、書類に沿って単純に打ち込みしていくこともあるようです。しかし、それでは文字を打ち込んで、ボリューム的には書類が出来ているように見えるだけなのです。依頼されたIPO準備会社様がそれらの書類内容をチェックすると、実態と違ったり、全体のイメージが違ったり不満が残る事にもなるのです。それらは、準備会社様が後々修正・改善していくことになり、手戻りなどの非効率な作業が多くなってしまうことになりかねません。書類を理解するためにヒアリングなどである程度補うことが必要になりますが、全体の把握もしていないまま部分的なヒアリングで作成すると、各申請書類は関連している個所が多いため整合性が取れていない場合や、適正な運営実態が表されているとは言えないケースも出てくるものです。部分的な作成依頼は、目先は準備会社も楽が出来ると思えがちですが、その後の証券会社や取引所の質問対応も対処できない代物となってしまうのです。
弊社がお勧めするのは、部分的な依頼は状況により有効な場合がありますが、基本的には全体を見通した依頼です。特にIPOの審査を熟知しているコンサルであれば作成において全体の整合性もとることが出来て手戻りが少ない上に、全体把握をしながら改善すべき管理体制の変更や運営方法の変更すべき事項を発見することが出来ますので、準備のもれが無くなり、審査対応もスムースに進んで行くことになります。
例えが難しいのですが、皆さんが家を建てる時を想像してください。初めに耐震なども考慮した詳細な設計図の作成依頼をするのではないでしょうか。しかし、この設計を無視して扉、窓や壁の設置場所や大きさなど、部分的に勝手に変更をしてしまうと支障が生じることが起こり得ます。ただ、それらを変更する際に、他の箇所に悪影響が出ないように全体設計の理解が出来ているか、または、部分依頼される場合でも、全体への配慮が出来る知識やノウハウのある方に相談して進めれば問題は回避できるのと同じではないでしょうか。
IPO準備のコンサルへの依頼をされる際の参考にして下さい。
次回は、Ⅱの部の記載範囲が、いかに会社全体の運営実態を記載するものなのかを簡単にまとめたいと思います。
(鈴木)