【加藤】収益認識会計基準の先行適用状況

 菅新政権の発足、米国大統領選挙、コロナ第3波の兆し、中国アントの上場中止、コロナワクチンの動向等々話題に事欠かない今年の秋ですが、株式市場は活況のようで米国市場では史上最高値を更新し、日本でも29年半ぶりに日経平均株価が終値で2万6000円台を回復しました。なかなか市況が読めない展開ですが、上場準備を進める会社さんはこれらの動きに振り回されることなく淡々と準備を進めてまいりましょう。

 さて、前回のブログで今年度3月決算会社から開始されるKAM(Key Audit Matters:監査上の主要な検討事項)の先行適用事例を取り上げましたが、今回は来年4月から適用が開始される収益認識会計基準の先行適用事例を取り上げてみたいと思います。会計専門誌の週刊経営財務の分析(No.3426号)によれば、2020年に入って先行適用の会社は以下のとおり新たに8社あるとのことでした(昨年以前の分も含めた累計では36社)。

 

銘柄code

市場

社名

業種

監査法人

会計

基準

主な変更点についての記載

6506

東証

一部

安川電機

電気機器

EY新日本

IFRS

(単体では具体的な記載なし)

1911

東証

一部

住友林業

建設業

EY新日本

日本

基準

・代理人取引に係る収益認識

・工事契約に係る収益認識

・保証サービスに係る収益認識

4183

東証

一部

三井化学

化学

EY新日本

日本

基準

(具体的な記載なし)

4514

東証

一部

あすか製薬

医薬品

清陽監査法人

日本

基準

・販売奨励金等の特約店に支払われる対価

・返品権つきの販売については記載

6146

東証

一部

ディスコ

機械

あずさ

日本

基準

精密加工装置等の販売において、従来は出荷時に収益を認識しておりましたが、検収時に収益を認識する旨

9658

東証

一部

ビジネスブレイン太田昭和

情報・通信業

ひびき

日本

基準

一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する旨

6894

東証

一部

パルステック工業

電気機器

ときわ

日本

基準

輸出販売の一部に関して、従来は船積基準により収益を認識していたが、財又はサービスを顧客に移転し当該履行義務が充足された一時点で収益を認識する方法に変更した旨

3857

JQ

ラック

情報・通信業

アヴァンティア

日本

基準

・他社が提供する保守サービスやソリューションの販売については、従来、契約書に定義した提供期間にわたり売上計上をしていたが、当該サービスが顧客に提供開始された時点において売上計上する方法に変更した旨

・準委任契約により提供するサービスについて、従来、サービス提供の完了をもって売上計上していたが、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短い場合を除き、当該履行義務の充足に係る進捗度を見積ることにより、一定の期間にわたり売上計上する方法に変更した旨

 

 特徴としては、東証一部以外の企業や大手監査法人以外の監査法人関与会社がある点、J-GAAPが多いといった点、また、いずれも2020年改正基準については先行適用していない点が挙げられるかと思います。なお、上記企業は、遡及修正に関しては全て益認識会計基準84項ただし書き(適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を、適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することができる)を適用しており、適用初年度の株主資本等変動計算書において「会計方針の変更による累積的影響額」の欄で影響額を記載しています。

 上場準備中の会社さんも徐々に対応が始まっておられるかと思いますが、今後の上場会社適用事例を参考にされつつ、監査法人や主幹事証券と綿密に連携を取られながら準備を進めていく必要があります。

 また、取締役会や監査役監査において、この収益認識会計基準の適用に伴う決算・財務報告プロセスへの関与の在り方については、しっかりと議論しておく必要があるかと思います。

 

加藤

 

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