8月7日に、スタンダード市場上場の㈱歯愛メディカル(以下、Ci社)に対する公開買付開始の報道がありました。(公開買付者は、プライム市場上場のエア・ウォーター㈱)
Ci社は、TOKYO PRO Market(以下TPM)経由で一般市場に上場した会社で、TPM上場の会社のなかでも印象深い会社でした。
今回は当時のCi社についての記憶をたどってみたいと思います。
(文中のデータは手集計によるものです。誤集計等についてはご容赦ください)
1. TPM上場時
Ci社は2016年6月17日にTPMに上場しました。
Ci社の直前期の売上高は181億円、経常利益は16億円で、それ以前にTPMに上場した16社(前身のTokyo AIMを含む)と比べても、ひときわ目立つ存在でした。
当時、「どうしてこの会社はTPMに上場したのだろう」と思ったことをよく覚えています。
2. 一般市場へのステップアップ第1号
Ci社は2017年12月にJASDAQ(S)市場に上場しました。
これはTPMから一般市場へのステップアップ上場の第1号にあたります。
当時の私は「これが最初で最後の事例だ」などと大変失礼な軽口をたたいていました。
2025年8月末現在、ステップアップ上場は15件も事例があり、己の不明を恥じるしかありませんが、それだけ当時のCi社の存在は特別に見えたのです。
3. エア・ウォーター社が株主に
下表は、TPMへの上場申請以降のCi社の株主の移動状況です。(5年前のブログからの転載です)
注目すべきは、今回の公開買付者であるエア・ウォーター社は、Ci社がTPMに上場した直後に資本業務提携で株主となっている点です。Ci社のTPMへの上場は、エア・ウォーター社がCi社に資本参加するうえで重要な要素だったのかも知れません。
●Ci社の株主の移動状況
株主 |
TPM申請時 2016/5/10 |
TPM上場日 2016/6/17 |
資本業務提携 2016/10/18 |
JASDAQ承認 2017/11/13 |
社長及び配偶者 |
2,000,000 |
▲100 |
▲799,900 |
1,200,000 |
取引先 |
- |
+100 |
▲100 |
- |
エア・ウォーター㈱ |
- |
+800,000 |
800,000 |
|
発行済株式数 |
2,000,000 |
0 |
0 |
2,000,000 |
(注)JASDAQ承認時の実際の発行済株式数は、株式分割(1株→5株)により1000万株だが、上表では株式分割による株式数の増加の記載を省略している。
公開買付とその後の手続が予定どおり進むと、エア・ウォーター社はCi社株式の90%を保有することになり、Ci社株式は上場廃止となる予定だそうです。
プロ向け市場へ上場した会社がその後どのように成長していくかについては、いろいろなパターンがあると思いますが、Ci社のケースには注目すべき点が多いように思います。
(原田)