内部統制報告制度は、金融商品取引法によって上場会社(その他政令で定める会社)に求められている制度です。(注)
(注)新規上場会社の場合は、上場日の属する事業年度から内部統制報告制度が適用となります。
(内部統制報告制度の導入の背景)
2004年~2006年にかけて、西武鉄道やカネボウ、ライブドアなど旧証券取引法上のディスクロージャーをめぐる不祥事が相次ぎ発生しました。(注)
これを受け、上場会社が提出する有価証券報告書における財務報告の信頼性をより高めるために、金融商品取引法に基づく「内部統制報告制度」が制度化されることとなりました。なお、同制度の策定にあたっては、米国企業改革法(SOX法)が参考とされたことから、内部統制報告制度は「J-SOX」と呼ばれています。
(注)相次ぐ不祥事
西武鉄道 |
長期間にわたる大株主の持株比率の過少記載により2004年12月上場廃止 |
カネボウ |
2000億円超の粉飾決算により2005年6月上場廃止 |
ライブドア |
経常損失を計上すべきところを多額の経常利益を意図的かつ組織的に計上したとして2006年4月上場廃止 |
(内部統制報告制度の概要)
内部統制報告制度では、金融商品取引法によって、ディスクロージャーの信頼性を確保するため、上場会社に対し以下の2点が求められています。
1. 経営者による内部統制の評価 (内部統制報告書)
経営者が「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制」について評価し、その評価結果を記した報告書(「内部統制報告書」)を経営者が提出すること(金融商品取引法24条の4の4)
2. 監査法人による内部統制の監査 (内部統制監査報告書)
経営者が作成した「内部統制報告書」の内容について、監査法人の監査証明(「内部統制監査報告書」)を受けること(金融商品取引法193条の2 第2項)
これらの関係を図示すると、以下のようになります。
(内部統制報告書に係る監査の免除について)
新規上場会社の場合、上場日から三年を経過するまでは、監査証明を受けなくてもよいとされています。(金融商品取引法 第193条の2 第2項 第4号、金融商品取引法施行令 第三十五条の三)(注1)(注2)
(注1)上場日の属する事業年度の直前事業年度末の資本金が100億円以上、または、負債合計が1,000億円以上である場合を除く(財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令 第10条の2)
(注2)期越え上場の場合は、上場日の属する事業年度開始日から3ヶ月を経過した日から三年。