一定の要件を充足する上場会社等は、国際会計基準に従い連結財務諸表を作成することができますが、厳密にはこの基準のことを「指定国際会計基準」といいます。
(連結財務諸表規則 第1条1項、第93条)
1. 国際会計基準と指定国際会計基準
(1)国際会計基準
国際会計基準審議会(IASB)が作成、公表した会計基準を「国際会計基準」と言います。
(2)指定国際会計基準
国際会計基準のうち、金融庁長官による指定を受けたものを「指定国際会計基準」といいます。
日本の上場会社等が国際会計基準に従い連結財務諸表を作成する場合には、この指定を受けた国際会計基準(指定国際会計基準)を参照します。
(3)指定国際会計基準に指定する手続の概要
IASBが国際会計基準を公表すると、日本の企業会計基準委員会(ASBJ)は、公表された基準は日本で受入れ可能か検討(エンドースメント)し、受入れ可能と判断した場合、ASBJは当該基準を採択、その後金融庁長官の告示を経て「指定国際会計基準」となります。
2. 指定国際会計基準の種類
どのような基準が指定国際会計基準に指定されているかは、金融庁の告示(注)で見ることができます。
(注)「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定
する件」。
IASBが国際会計基準の開発、修正等を公表すると、金融庁は一定期間まとめて指定の告示を行っています。
指定国際会計基準に指定されている基準には以下のようなものがあります。(金融庁告示 別表2)
①国際財務報告基準(IFRS)
②国際会計基準(IAS)
③IASBの関連組織が作成した解釈指針
3. 指定国際会計基準特定会社
指定国際会計基準に基づき、連結財務諸表を作成する会社は、以下の要件を充足する必要があります。そしてこのような要件を充足している会社を「指定国際会計基準特定会社」といいます。
(連結財務諸表規則 第1条の2)
①上場会社や、募集・売出を行うために有価証券届出書を提出する会社で、提出する有価証券報告書や有価証券
届出書に連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取組みに係る記載を行っていること。
②指定国際会計基準に関する十分な知識を有する役員又は使用人を置いており、指定国際会計基準に基づいて連
結財務諸表を適正に作成することができる体制を整備していること。
(注)「連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取組み」とは、例えば以下のような取組みをいいます。(企
業内容等開示ガイドライン5-20)
① 会計基準等の内容を適切に把握し、又は会計基準等の変更等について的確に対応することができる体制の整
備(会計基準の内容又はその変更等についての意見発信及び 普及・コミュニケーションを行う組織・団体
(例えば、財務会計基準機構)への加入、 会計基準設定主体等の行う研修への参加)
② 指定国際会計基準又は修正国際基準により適正な財務諸表等を作成するための社内規程、マニュアル、指針
等の整備及びこのための社内組織(例えば、情報管理委員会、 特別に設置するタスクフォース)の設置
関連項目:IFRS、アドプション、コンバージェンス、コンドースメント、修正国際会計基準