計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表のことを表します。(会社法 第435条 第2項、会社計算規則 第59条 第1項)
株式会社は、各事業年度に係る計算書類、事業報告及びこれらの附属明細書を作成しなければなりません。
計算書類及びその附属明細書の作成に係る事業年度は、1年(決算期を変更する事業年度については1年6か月)を超えることができません。(会社計算規則 第59条 第2項)
(計算書類等の監査)
監査役設置会社(会計監査限定監査役について定款の定めがある会社を含み、会計監査人設置会社を除く)では、計算書類及びその附属明細書は、監査役の監査を受けなければなりません。(会社法 第436条 第1項)
会計監査人設置会社では、計算書類及びその附属明細書は、監査役(監査等委員会設置会社の場合は監査等委員会、指名委員会等設置会社の場合は監査委員会)及び会計監査人の監査を受けなければなりません。(会社法 第436条 第2項第1号)
また、取締役会設置会社では、計算書類及びその附属明細書は取締役会の承認を受けなければなりません。(会社法 第436条 第3項)(注)
(注)監査役(監査等委員会設置会社の場合は監査等委員会、指名委員会等設置会社の場合は監査委員会)及び会計
監査人の監査を受けている場合には、監査を受けた計算書類及びその附属明細書について承認。
(計算書類の株主への提供)
取締役会設置会社の計算書類は、取締役会の承認を受けた上で、定時株主総会の招集通知の添付書類として株主に提供されます。(会社法 第437条)
計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければなりません。
ただし、会計監査人設置会社である取締役会設置会社が、以下の条件を満たす場合には、定時株主総会で計算書類の内容を報告すれば足り、定時株主総会の承認を受ける必要はありません。(会社法 第438条 第2項、第439条、会社計算規則 第135条)
・会計監査人の意見が無限定適正意見(会社計算規則 第126条1項2号イ)であること
・監査役、監査役会、監査等委員会または監査委員会の監査報告の内容として会計監査人の監査の方法または結果
を相当でないと認める意見がないこと。(監査役会、監査等委員会または監査委員会の監査報告と異なる意見の
監査役、監査等委員または監査委員がいないこと)
・特定監査役が特定取締役及び会計監査人に対し、法定の期日までに監査報告の内容の通知を行っていること(会
社計算規則 第132条 第3項の規定の適用を受けていないこと)
(連結計算書類)
事業年度の末日において大会社である有価証券報告書提出会社(金融商品取引法 第24条 第1項)は、当該事業年度に係る連結計算書類を作成しなければなりません。(会社法 第444条 第3項)
(注)上記以外社の会社でも、会計監査人設置会社は、各事業年度に係る連結計算書類を作成することができます。(会社法 第444条 第1項)
連結計算書類とは、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表のことを表します。(会社法 第444条、会社計算規則 第61条)
連結計算書類は会社計算規則の規定に基づき作成しますが、一定の要件を充足する会社は、指定国際会計基準または米国基準で作成することができます。(会社計算規則 第120条、第120条の2)
(連結計算書類の監査等)
連結計算書類は、監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人の監査を受けなければなりません。(会社法 第444条 第4項)
取締役会設置会社である会計監査人設置会社は、取締役会の承認を受けた連結計算書類を定時株主総会の招集通知の添付書類として株主に提供しなければなりません。(同 第5項、第6項)
定時株主総会では、連結計算書類の内容及び監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)、会計監査人の監査の結果を報告しなければなりません。(同 第7項)
(注)有価証券報告書提出会社の計算書類及び連結計算書類は、EDINETで閲覧することができます。(有価証券報告書(HTML版)の添付文書)
(参考)事業報告及び計算書類の監査報告の通知期限 (監査役設置会社及び監査役会設置会社の場合)
●事業報告及びその附属明細書
特定監査役→特定取締役へ |
以下のうちいずれか遅い日 ・ 事業報告を受領した日から4週間を経過 した日 ・事業報告の附属明細書を受領した日から 1週間を経過した日 ・ 特定取締役及び特定監査役の間で合意し た日 |
会社法施行規則 第132条 第1項 |
*特定監査役とは(会社法施行規則 第132条 第5項 第1号、第2号)
~監査役設置会社または監査役会設置会社の場合
・監査役が1人の場合→監査役
・監査役が複数の場合(監査役会設置会社を含む)
→特定取締役へ事業報告及びその附属明細書についての監査報告の内容を通知する監査役を定めた場合は、
当該監査役。定めていない場合は、すべての監査役
*特定取締役とは(会社法施行規則 第132条 第4項)
~監査役設置会社または監査役会設置会社の場合
・特定監査役から事業報告及びその附属明細書についての監査報告の内容の通知を受ける者を定めた場合はその
者。定めていない場合は、事業報告及びその附属明細書の作成に関する職務を行った取締役
●各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書(会計監査人設置会社以外)
特定監査役→特定取締役へ |
以下のうちいずれか遅い日 ・計算書類の全部を受領した日から4週間を 経過した日 ・計算書類の附属明細書を受領した日から1 週間を経過した日 ・特定取締役及び特定監査役が合意により 定めた日があるときは、その日 |
会社計算規則 第124条 第1項 第1号 |
*特定監査役とは(会社計算規則 第124条 第5項)
・監査役が1人の場合→監査役
・監査役が複数の場合(監査役会設置会社を含む)
→特定取締役へ計算書類及びその附属明細書についての監査報告の内容を通知する監査役を定めた場合は、当
該監査役。定めていない場合は、すべての監査役
*特定取締役とは(会社計算規則 第124条 第4項)
・特定監査役から計算書類及びその附属明細書についての監査報告の内容の通知を受ける者を定めた場合はその
者。定めていない場合は、計算書類及びその附属明細書の作成に関する職務を行った取締役
●計算書類及びその附属明細書(会計監査人設置会社)
会計監査人 →特定監査役 →特定取締役 |
各事業年度に係る計算書類等 以下のうちいずれか遅い日 ・計算書類の全部を受領した日から4週間を 経過した日 ・計算書類の附属明細書を受領した日から1 週間を経過した日 ・特定取締役、特定監査役及び会計監査人 の間で合意により定めた日があるとき は、その日 連結計算書類 連結計算書類の全部を受領した日から4週 間を経過した日(特定取締役、特定監査役 及び会計監査人の間で合意により定めた日 がある場合にあっては、その日) |
会社計算規則 第130条 第1項 第1号、第3号 |
特定監査役 →特定取締役 →会計監査人 |
連結計算書類以外の計算書類関係 以下のうちいずれか遅い日 ・ 会計監査報告を受領した日から1週間を経 過した日 ・ 特定取締役及び特定監査役の間で合意に より定めた日があるときは、その日 連結計算書類 会計監査報告を受領した日から1週間を経 過した日(特定取締役及び特定監査役の間 で合意により定めた日がある場合にあって は、その日) |
会社計算規則 第132条 第1項 |
*特定監査役とは(会社計算規則 第130条 第5項 第1号、第2号)
~監査役設置会社または監査役会設置会社の場合
・監査役が1人の場合→監査役
・監査役が複数の場合(監査役会設置会社を含む)
→会計監査人から会計監査報告の内容の通知を受ける監査役を定めた場合は、当該監査役。定めていない場
合は、すべての監査役
*特定取締役とは(会社計算規則 第130条 第4項)
~監査役設置会社または監査役会設置会社の場合
・会計監査人から会計監査報告の内容の通知を受ける者を定めた場合はその者。定めていない場合は、計算書類
及びその附属明細書の作成に関する職務を行った取締役
関連項目:事業報告