12月に入り、2017年のIPO予定企業も全て出揃いました。少し早いですが2017年のIPO市場を振り返ってみたいと思います。(以下の社数には、上場承認済みの12月上場予定企業も含まれています)
- 2017年のIPO社数は合計で89社(※)でした。2016年のIPO社数は83社でしたので、前年比で6社増加したことになります。
- エスキュービズムは2月の上場承認後、同社から新規上場を取り止める旨の申出があったため、またアトリエはるかは11月の上場承認後、コンプライアンスに関して確認すべき事項が発生したこと等から、いずれも上場前に承認取り消しとなりました。
- アメリカの企業であるテックポイント・インクが9月にマザーズに上場し、海外企業のIPOとしては3年半ぶりの事例となりました。
- 2016年にプロ向け市場であるTOKYO PRO Marketに上場した歯愛メディカルが、12月にJASDAQスタンダードへ市場変更を行います。TOKYO PRO Marketから通常市場への市場変更として初の事例となりました。
- 市場別ではマザーズが49社と最多で、東証1部・2部が19社、JASDAQスタンダードが18社と続きました。また、地方市場の名証2部で1社、札証アンビシャスで2社のIPOがありました(重複上場除く)。
- 主幹事証券は野村證券が27社と首位で、大和証券が15社、みずほ証券14社、SMBC日興証券10社と続きました。次いでSBI証券8社、岡三証券4社、いちよし証券4社と大手証券以外の主幹事案件も一定数ありました(取引所公表資料の「幹事取引参加者」の記載ベース)。
- 監査法人はトーマツが28社で首位、新日本25社・あずさ16社と大手3法人で全体の約77%のシェアを占めています。一方で大手3法人以外の11の監査法人によるIPOが20社あり、監査法人の裾野が広がっています。
- 今年の夏頃から、監査法人内の働き方改革に関連して一部の大手監査法人がIPO準備企業との新規契約をストップする動きがあり、数年後のIPO市場への影響が懸念されます。
- 印刷会社についてはプロネクサスが55社、宝印刷が34社となりました。
- 証券代行機関については三菱UFJ信託が40社、続いて三井住友信託が30社となりました。
※TOKYO PRO Marketへ新規上場した7社及びTOKYO PRO MarketからJASDAQスタンダードへ市場変更した1社を合わせると98社になります。当記事では、TOKYO PRO Marketへの上場及びTOKYO PRO Marketからの市場変更は社数から除いています。
来年IPOを予定する企業も高水準との話を聞いており、来年も堅調なIPO市場となることを願っています。
(関口)