少し前の話になりますが、3月に行われたCP+というカメラの展示会をパシフィコ横浜に見に行っていきました。CP+は、モーターショーのカメラ版のような展示会で、キャノンやニコン、ソニー等が自社製品の展示を行う他、有名写真家のトークショーやワークショップ等が行われていました。展示ブースとしてはソニーのブースが一番大きく、レンズ交換式カメラ市場でソニーの存在感が増しているという報道を実感するような内容でした。
その中で特に面白かったのが、鉄道写真家である中井精也先生の「鉄道のある風景を訪ねて」というステージでした。中井先生は、鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影するという「ゆる鉄」や、毎日必ず鉄道写真をブログにUPする「1日1鉄」というジャンルを生み出した写真家です。ステージでは、中井先生が撮影した素敵な写真を紹介しつつ、広島の路面電車が原爆投下後3日後に復旧したエピソードや、東日本大震災後の三陸鉄道の復旧のエピソードを披露されていて、とても感動的なステージでした。私はいわゆる「鉄っちゃん」ではありませんが、ちょっと鉄道写真にはまりそうになってしまうぐらいぐらい感動的な写真ばかりでした。
かなり感動したので、後からなぜそこまで感動したのかを考えてみました。
・「ゆる鉄」という今までないジャンル、自分なりの世界観を確立している
はじめ鉄道写真というと、画面いっぱいにドーンと鉄道が鎮座している写真を創造していたのですが、中井先生の写真は、写真の95%ぐらいは花や空が写っていて残りの5%ぐらいが鉄道という写真や、駅舎や、電車に乗っている子供達などの写真が中心で、斬新さに衝撃を受けました。まあだからゆるい鉄道写真=「ゆる鉄」なんですね。
・圧倒的なプレゼン力
中井先生のトークを聞いていると、観客も自然にトークに引き込まれてしまいます。それは中井先生がとにかく今日は楽しんでいってくださいという気持ちが強いこと、自分自身も本当に楽しんでステージを行っていることが観客に伝わるからだと思います。特に三陸鉄道については先生自身に強い思い入れがあるらしく、観客も三陸鉄道の話になるとウルウルきてしまうのですが、後でTwitterをみると先生自体もウルウルしながら話していたみたいです。
とにかく写真家でも、スポーツ選手(二刀流の大谷選手などもそうでしょうか)でも、会社でも、サラリーマンでもコンサルタントでも、今までにないジャンルを開拓した人や、自分の世界観を作り上げた人は強いなーということを強く感じた1日でした。
(古川)