【関口】コロナの功名

 現在、新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。そして、IPO業界においてもこの影響が色々と出てきているようです。この1週間で実際に聞いた話だけでも

  • この3月はIPO社数がとても多い月だが、上場日に行われる東証での上場セレモニーが当面中止に
  • これからIPOする会社の公募価格の算定に直近の株式市場の暴落が影響を与え、予定していた資金調達ができない企業が出てくる可能性(最悪はIPOを中止する可能性)
  • 足元で既に業績が悪化している、又は今後の業績が悪化することにより、近い先に上場を予定している上場準備企業の上場時期が延びる可能性
  • 大手監査法人が在宅勤務となった影響で、予定していたスケジュールでの監査ができなくなり、上場準備企業の準備スケジュールに影響を与える可能性
  • 3月決算の上場準備企業では来期予算の策定時期であるものの、今後の状況が不透明なため策定、決議ができない

 といった話があります。

 

 このようにネガティブな話題に事欠かない状況になっており、どうしても暗いムードになってしまいがちですが、全てがマイナスではなく、このような状況が結果的に将来のプラス要因になるものもあるのではないかと思います。例えば、働き方改革の進展です。

 

 GMOインターネットグループは今回の新型コロナウイルスの報道が始まった1月下旬、いち早く国内従業員の約9割を在宅勤務とすることを発表しました。それから1ヶ月近くが経ちましたが、同社の業績への影響はほとんど無いとのことです。何故このような事ができたかと言うと、同社では10年以上前からBCPの訓練として在宅勤務を「訓練」として毎年実施してきたため、今回、すぐに実行することができたとのことです。

 「テレワークの推進」自体は以前から世の中のテーマになっており、取り組もうとしている会社も多かったと思いますが、同社のようにすぐに本格的に実施できる状態になっている会社は少なかったのが実情ではないかと思います。ただ今回の非常事態でテレワークや時差出勤を導入せざるを得ない状況になり、結果的に本気で新しい働き方へ取り組む機会になっている会社が多い状況にあります。外部要因によって半強制的に今回の経験ができたことで、今後テレワークや時差出勤の普及が進み、政府が掲げる「働き方改革」も大きく進展していく期待が持てます。

 

 新型コロナウイルスについては即効性のある対応がないため早期に収束することを願うことしかできませんが、その間、働き方改革に限らず、この危機時の経験を将来に活かすことを意識した行動を各々が取ることが大事なのではないかと思います。

 

関口

 

2024IPO社数(予定を含む)=71*

2023IPO社数(通期)=96*

 

11月1日現在

市場別

2024

(含予定)

2023

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

3

10

54

1

0

3

1

2

23

66

5

1

1

0

 Qボード 3 1

合計

   75

99

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

 

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2023IPO社数(通期)=96*

2022IPO社数(通期)=91*

 

市場別

2023

2022

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

2

23

66

5

1

1

0

3※1

142

70※3

2

0

2

1

 Qボード 1 0

合計

   99

92

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

2022IPO社数=91

2021年IPO社数=125社

 

市場別

2022

 

2021

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

2

10

60

1

6

東証2

3

8

マザーズ

10

93

JASDAQ

メイン-名

1

2

16

名証2

0

3

ネクスト-名

セントレックス

2

0

1

Qボード

アンビシャス

0

1

3

合計

92

130

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。