日経平均が3万円を超えてしまいました。一方で、飲食店は20時までの営業短縮要請で夜の繁華街に全く賑わいはありません。株高はコロナ対策のための各国の異次元の金融緩和がもたらす蜃気楼のようなものかも知れません。この先の市場動向には注意が必要です。
さて、いよいよ今年の3月決算会社から収益認識会計基準の原則適用(4月~)やKAMの適用開始が始まりますが、今年はもう一つ大きな会計基準の適用が始まります。
「会計上の見積りの開示に関する会計基準」です。
こちらについては、多くの会社では未適用の会計基準等の注記においてその存在に触れられていると思いますが、開示の準備は進んでいますでしょうか。
当該開示は収益認識会計基準と同様にIFRSが先行しています。そのため、実際の開示イメージはIFRS適用会社の開示が参考になるかと思います。
EDINETでIFRS適用会社の有報を探すのは簡単です。
書類全文検索のタブに行って左側の全文検索をクリックし、文字列の入力欄に「第93条の規定」と入力し、「書類情報を指定する」にて「書類種別を指定する」と「有価証券報告書」にチェックを入れて、検索ボタンを押してください。そうしますとIFRS適用会社の有報が200社程度ヒットするかと思います。
これらの中から自社の事業に近い企業を選択し、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表注記」の中に「重要な会計上の見積り及び判断」や「重要な会計上の判断、見積り及び仮定」といった項目が見つけてください。その内容やそこが参照する個別注記の内容が日本基準(JGAAP)に適用される「会計上の見積りの開示に関する会計基準」で求められる開示に関してのまずは参考になるかと思います。
また、重要な会計上の見積りについては、前期3月決算会社よりMD&Aにおいてある程度記載することが求められていますが、金融庁が取り纏めている好事例集も参考になるかと思います。
なお、これらの開示項目については、監査上も主要な検討事項となることが多いため、KAMの内容と被ることが多いかと思います。そのため、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の適用に伴う開示内容とKAMの文言とで齟齬が生じないよう早めに監査チームと擦り合わせを実施する必要があります。特に初年度は会社の実態に合わせた文章を書きあげるには相当の時間がかかると思います。
IPO準備会社さんも上場している同業他社の開示状況はよく研究していく必要がありますね。
(加藤)