有価証券通知書とは、有価証券の募集または売出し(注1)を行うが、発行価額または売出し価額の総額が小さい場合(注2)など有価証券届出書の提出が免除されている場合に、当該募集または売出しが開始される日の前日までに財務局に提出する書類です。(金融商品取引法 第4条 第6項)
(注1)募集とは「50名以上の者を相手方として行う、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘」等をいいます。
また、売出しとは、50名以上の者を相手方として行う、既に発行された有価証券の売付けの申込みまたはその買付けの申込みの勧誘」等をいいます。
(注2)1千万円超1億円未満の場合。1千万円以下の場合は有価証券通知書の提出も不要です。
有価証券報告書を提出していない会社(提出を免除されている会社を除く)の有価証券通知書等の提出の要否の概要は下表のとおりです。
関東財務局ウェブサイト「有価証券通知書について(概要)」より
区分 |
発行(売出)価額の総額 |
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1千万円以下 |
1千万円超 ~1億円未満 |
1億円以上 |
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募集・売出し |
不要 |
有価証券通知書 [府令第4条通知書] [特定府令第5条通知書] (法第4条第6項) |
有価証券届出書 (法第4条第1項) |
[略号] 法:金融商品取引法 府令:企業内容等の開示に関する内閣府令 特定府令:特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令 |
なお、計画されている有価証券の発行等の直前の一定期間において有価証券の発行等が行われている場合には、発行(売出)価額の総額や勧誘の相手方の人数によっては、通算規定の適用により、有価証券通知書や有価証券届出書の提出が必要となる場合があります。
有価証券の発行等を計画する場合には、今回の有価証券の発行等の要項の他、直前1年間の新株発行等の内容を確認し、有価証券通知書や有価証券届出書の提出の要否を検討する必要があります。
(有価証券通知書の様式)
有価証券通知書は、発行価額または売出価額の総額が小さいなど、投資家保護の観点から有価証券届出書の提出が不要とされる場合の書類であるため、有価証券届出書と異なり質、量ともに非常に簡易な様式です。(一号様式。企業内容等の開示に関する内閣府令 第4条 第1項)
したがって有価証券の発行等を計画する場合には、会社の事務負担軽減のため、可能な限り有価証券通知書の提出で済ませる(有価証券届出書の提出を回避する)ように注意する必要があります。