上場準備会社の株式の評価を行う際に「相続税評価額」という言葉が使用されることがあります。この場合の「相続税評価額」とは、相続等により取得した財産の時価の具体的な評価方法を定めた「財産評価基本通達」に基づいた未上場会社の株式評価額のことを言います。
上場準備会社が行う増資や株主が行う株式の売買に係る税務は、主に法人税法や所得税法によりますが、法人税法や所得税法は一定の条件の下で、未上場会社の株式の評価について「財産評価基本通達」の例により算定した価額を用いることを認めています。
そのため、上場準備会社の増資や株主が行う株式の売買の際に、税務上問題ないと考えられる株価として「相続税評価額」が採用されることがあります。
(財産評価基本通達による未上場株式の評価)
財産評価基本通達では評価対象会社の業種、従業員数、総資産、売上高により、評価対象会社を「大会社」「中会社」「小会社」に分類し、それぞれについて以下のように原則的な評価方法を定めています。
会社の区分 |
評価方法 |
納税者の選択により 採用できる評価方法 |
大会社 |
類似業種比準方式 |
純資産価額方式 |
中会社 |
併用方式(注) |
純資産価額方式 |
小会社 |
純資産価額方式 |
併用方式(注) |
(注)類似業種比準方式と純資産価額方式を定められた比率で加重平均する方式。