「自社株式オプション」とは、自社の株式を原資産とするコール・オプション(一定の金額の支払により、原資産である自社の株式を取得する権利)をいいます。新株予約権はこれに該当します。
また、自社株式オプションのうち、特に企業がその従業員等に、報酬として付与するものをストック・オプションといいます。(ストック・オプション等に関する会計基準 2(1)(2))
(インセンティブ報酬としてのストック・オプション)
コーポレートガバナンス・コードでは、「取締役会は、経営陣の報酬が持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能するよう、報酬制度を設計すべき」とし、続けて「報酬制度設計や具体的な報酬額の決定の際には、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべき」と述べています。(補充原則 4-2①)
従来の日本では、業績への連動性が緩やかな(もしくは固定的な)金銭中心の役員報酬制度が主流でした。
現在の日本ではコーポレート・ガバナンス強化の流れを受けて、インセンティブ報酬(株式報酬や業績連動報酬)への関心が高まっていますが、ストック・オプションもインセンティブ報酬の1つです。
日本公認会計士協会の「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」では、インセンティブ報酬のうち新株予約権を利用した制度を以下のように分類しています。
・株式報酬型ストック・オプション(いわゆる1円ストック・オプション)
・業績連動型ストック・オプション(無償発行のもの)
・権利確定条件付有償新株予約権(いわゆる「有償ストック・オプション」)(注1)(注2)
・時価発行新株予約権信託(注3)
(注1)企業会計基準委員会は平成30年(2018年)1月12日付で、有償ストック・オプションの会計処理及び開示に
関して、実務指針対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付有償新株予約権を付与する取引に関す
る取扱い」を公表しています。
(注2)有償ストック・オプションは、原則として企業会計基準適用指針第 17 号「払込資本を増加させる可能性の
ある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」の適用対象外となります。(前述の実務指針対応報告第36
号 4)
(注3)親会社等が信託の委託者となり、前述の権利確定条件付有償新株予約権と同様の新株予約権を信託に対して
有償で発行し、規程に従って従業員等に付与されたポイントに基づき、当該新株予約権を従業員等に付与す
る形の報酬制度
関連項目:公開前規制、新株予約権とストック・オプション