「親引け」とは、株券等の募集又は売出しの引受等を行う者(引受証券会社)が、発行会社が指定する先へ株券等の売付けを行うことをいいます。(株券等の募集等の引受等に係る顧客への配分に関する規則(以下「規則」。)第2条第2項)
引受証券会社には、引受等を行った株券等を、合理的な理由なく特定投資家に偏らないように販売する義務があり、この観点から「親引け」は原則として禁止されています。(規則第2条 第1項、同第2項)
新規上場会社が行う募集・売出しについても例外ではなく、引受証券会社は、市場の実勢、投資需要の動向等を勘案し、発行会社の意向に左右されることなく、自らの判断で株券の販売先を決定します。
ただし、以下の要件をすべて充足する場合には、例外的に「親引け」を行うことができます。(規則第2条 第2項ただし書き)
(1)「当該親引けを行ったとしても、合理的な理由のない特定投資家に偏った販売には該当しない」と引受証券会
社が判断している。
(2)発行会社が①親引け予定先の状況 ②当該親引けに係る株券等の譲渡制限、発行条件に関する事項、③当該親引
け後の大株主の状況等を適切に公表する。
(3)当該募集等の実施後180日間継続して所有することの確約を主幹事証券が親引け予定先から書面により取り付
ける。
新規上場会社の親引けの事例としては、従業員持株会を対象とするもの(従業員の福利厚生目的)、主要な取引先を対象とするもの(良好な取引関係の継続目的)などがあり、親引け先への販売の詳細は、訂正有価証券届出書の「募集又は売出しに関する特別記載事項」で確認することができます。