先週の9月24日(水)、「ベンチャー創造協議会」という協議会が新たに設立され、同日、その設立カンファレンスが虎ノ門ヒルズで開催されました。「ベンチャー創造協議会」とは、経済産業省が「大企業とベンチャー企業の連携を促進させること」を主な目的として設立した会で、6月に閣議決定された「日本再興戦略」の方針を受けたものになります。
これまでも国の施策としてベンチャー支援に関するものは色々と存在していましたが、「ベンチャー創造協議会」はベンチャーに対する個別支援だけでなく、大企業・中堅企業とベンチャー企業の連携を生み出すための場として設立された点が特徴になります。
後日、カンファレンスに参加した方から話を聞きましたが、参加者も多く、非常に活況だったとのことです。日本全体でベンチャーを支援していくという姿勢が明確化された良い取組みだと思いますが、「大企業とベンチャーの連携・交流」と聞くと、自分自身の体験と重なるものを感じます。
私は大学卒業後、いわゆる大企業に就職して仕事をしていましたが、管理部門所属だったこともあり、ベンチャー企業は全くの別世界の存在でした。そんな私が中小企業診断士の資格を取得した際の実務補習で初めてベンチャー企業に関与する機会を得たのですが、そこでベンチャー企業の持つ活気というものを目の当たりにしました。一方で、大企業では当然の知識やノウハウであっても、世の中にはそれを知らない人・必要としている人や企業がたくさんいるということにも気付き、それがその後、私がIPO・ベンチャー支援の世界に進む大きなきっかけとなりました。
現状では大企業とベンチャーはどうしてもそれぞれ別の世界で動いているイメージがあり、事業面でも人材面でも積極的な交流は行われていないと思います。今回の協議会のような機会をきっかけに大企業とベンチャーの接点が増加していくと、ベンチャー関係の世界に興味を持ってその世界に転じる人が増えていくことが自らの経験からも予測できますし、逆にベンチャー出身者が大企業で新規事業開発を担当するなど、人材の双方向の移動もどんどん増加するのではないでしょうか。
「ヒト、モノ、カネ、情報」という経営資源のうち、モノとカネに関してはやはり大企業が豊富に保有している資源であるため、大企業がベンチャー企業の製品・サービスの購入者になったり、ベンチャー企業に出資したりと、その流れは一方通行になるかもしれませんが、ヒトと情報に関しては大企業とベンチャーの相互にその特性を生かした長所があると思います。将来、これらの経営資源が相互に行き交うことが当たり前の世の中になれば、大企業もベンチャーも同じ枠組みの中でそれぞれの良さが混じり合い、双方にとって良い効果が生じるのではないかと感じます。まだまだ始まったばかりの協議会ですが、これをスタートに、日本全体の活性化につながることを期待したいと思います。
(関口)