【鈴木】経営者の審査姿勢

昨年もIPOを前後として、不祥事や不適切開示等の不備が発覚しています。思えば、新興市場が開設され、IPOの勧誘が激しくなり、それに伴い問題企業が増加したように思います。IPO準備支援者だけでなく、経営者の審査姿勢に問題があるのではないでしょうか。

 

新興市場が開設される際にIPO審査は緩和されました。それ以降、IPO勧誘のためのセミナーは、東京証券取引所、監査法人、証券会社やVC等が大々的に数えきれないほど開催されるようになりました。これらのセミナーでは、制度変更の説明を行うと共に、IPO審査のポイントなどを解説していることが多いように思います。

 

新興市場へのIPOは、設立も短く赤字でも上場できることもあり、多くの企業が興味を持つようになりました。これらの多くの企業は、IPO準備前は当然のごとく会社の管理体制が整っていることはありません。また、スタッフ部門は最小限か明らかに不足しているのが実態です。

 

上場審査では経営管理体制の状況や内部統制の状況等の確認が行われます。ある程度の規模の会社の体制を整えるのは結構大変な作業を伴う事が多いのですが、規模の小さい企業ほど準備がしやすいと言われます。この意味するものが問題なのです。

 

上場審査では、経営管理体制の状況の確認は殆どが書類上でのチェックとなります。中期経営計画、月次予算、諸規定等々しかりです。質問に対する回答も書面中心で行われます。

ヒアリングも行われますが、書面回答に沿って説明の補足をする程度です。

以前の審査であれば、適正な体制で運用した実績作りが重要でした。実際に運用が定着しているかを判断するためでもあります。最近では、実績期間が相当短い会社、又は、実績があると言えるのか疑わしい会社もあるのではないでしょうか。この程度の審査チェックですので、表面上の体制を繕って合格すればよいと言う、一時しのぎ程度の認識しかない会社もあるのだと思います。表面上の審査なら、小規模の会社ほど、管理体制が整っているように見せかけるのは簡単です。東京証券取引所の審査は短期間で行われ、実態を正確に把握するのは困難だと思われます。

 

それにしても、経営者は上場前後に問題を起こした場合のダメージが大きいとは考えていないのでしょうか。支援関係者である監査法人、証券会社等(我々のようなコンサルタントも含め)の誰かが経営者にとって耳の痛い話をするのを躊躇し、緩めの説明をしてしまうと、経営者は直ぐに安易な方向に流れてしまう傾向があるのですから。ならば、問題を起こした企業への懲罰をもっと大きいものにし、抑止力を働かせることを検討してはいかがでしょうか。これも案としては有効なのだと思いますが、簡単に変更できるこのではないのかも知れません。

 

しかし、その前にもっと改善すべき事項があります。すなわち、IPO前の準備における体制作りが、今後の成長にとってどれほど重要なのか、貴重な作業なのかを経営者に納得のいく説明をすることです。IPO誘致のセミナーをするのであれば、制度説明や心地の良いメリットだけでなく、上場企業の社長になると言う事はどういうものなのか等、経営者の審査を受けるための姿勢を変えてもらうための説明が必要ではないでしょうか。また、実場面でも準備段階では対処しないといけない検討事項が沢山あり、その際に必要性を十分説明する対応が重要です。現時点では、この当たり前の重要な事が十分に出来ているとは思えません。

 

本来、IPOの準備は長期間で大変な苦労が伴うものです。抑止力が働かない現状では、関係者は常に審査姿勢について経営者に理解して頂くべく話をし続けることで、不祥事等を少しでも減らせるようにしていくしかないでしょう。

 

 鈴木

 

 

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