貴社は、経営理念を策定しているでしょうか。策定した経営理念を経営者自ら実践しているでしょうか。
一般的に、企業が拡大し社員数が多くなっていく過程で経営理念を策定する会社が多いと思われます。また、中期経営計画等を策定する際に、経営理念を掲げることで経営戦略の方向性の判断基準を明確にします。経営理念は、投資家等の外部に対してその会社のメッセージを発信することで、企業の考え方や価値観、そして社会的使命を明示することができ、IRにも繋がります。経営理念は、企業内部に対してもまた企業外部に対しても大変重要なメッセージであると思われます。
現在、IPOコンサルタントとして、初めて会社を訪問させていただく機会も多くありますが、そのような場合に、まずはその会社がどのような考えで経営しているか、どのような価値観の会社かを把握するために、経営理念を自社のHP等に開示されている場合には確認するようにしています。
経営理念とは、経営活動の基本となる考え、行動指針、企業の存在意義、価値観、使命を指します。価値観は、その企業が存在のよりどころとする主義であり、使命はその企業がどのような理由で存在し、どのような活動を実践するのかを表します。
経営理念を策定することは、経営者自身の経営判断の迷いに対して、一定の効果を及ぼしているのではないでしょうか。また、会社の進むべき方向、価値観を全社員に共有することで、会社が一つに纏まり、会社の方針が全社員に浸透する効果が期待されます。
経営理念を策定し、組織内に浸透させ、組織のメンバー全員が共有することで、一丸となって目標に向かう強い組織を形成できることとなります。また、経営理念は、組織の行動指針を示すこととなりますので、経営者(社長)自らが率先して、経営理念に沿った姿勢を示すことが大切です。
一方、立派な経営理念を策定し掲げても、経営者自身がそのとおりに行動しないのであれば、社員も同様に理念どおりに行動しなくなり、さらに経営者に対する信頼感が薄れていってしまうことにもなりかねません。このような会社は、優秀な人材は離れてしまい、行動指針も遵守されずに不正に繋がる可能性が高くなるでしょう。経営者自ら実践しない経営理念は、逆効果となってしまい、会社が分解してしまう可能性が高くなります。
未だ、経営理念を明確に策定していないのでしたら、まずは経営理念を策定し、全社員に浸透させる、経営者自ら経営理念を実践することが必要と思われます。
(黒川)