上からの命令に絶対服従の組織が成果を挙げる組織なのか、あるいは下からの意見も受け入れられる組織が有効な組織なのか。
このことを考えるに際して、最近起きた2つの事件が参考になると思われます。以下の2つの事件は共通の原因があるからです。
一つは、日大アメフト部の悪質タックル事件についてです。この事件の原因が、監督の言うことは絶対であり、選手が拒否したり反対を言えるような関係ではなかったといった監督と選手との絶対的関係が事件を生じさせたことを鑑みると、ひと昔前の体育会系の関係ではどこかに歪みが生じてしまい致命的な事件に繋がる可能性が高くなってしまいがちです。
二つ目は、日本サッカー代表監督であったハリルホジッチ監督の突然の解任についてです。ハリルホジッチ前監督が、選手に対して強権的な姿勢を徹底したことで選手からの反発にあいチームとしての信頼関係が築けなかったことが解任の原因と報道されており、監督の意見は絶対であり選手が意見することが許されなかった状況が組織としての一体感が築けなくなり、W杯直前にもかかわらず解任となってしまいました。
企業の不祥事も同様のことが言え、経営トップが下に対して過度なプレッシャーをかけたり、不正に繋がる命令を指示することが不祥事の原因となっている例は多くあります。
監督や経営者といったリーダーの姿勢、言動次第で事件や不祥事が発生してしまうこととなります。
経営学者であるP.F.ドラッカーは、その著書の中で、リーダーの役割について、「リーダーの役割とは人に指示を与え人を動かすことではない。リーダーの役割とは人が自発的に動けるように組織の環境をマネジメントすることである。というのも、上下関係や自分が指示するだけで人は動くわけではない。 人を動かすだけではそのチームが高い成果を出すことはできないだろう。よって、チームで高い成果を出すためには人が自発的に動けるように組織をマネジメントすることが必要だ。」と述べているように、成果を挙げる組織というのは、トップが強権的に上意下達するのではなく、メンバーが自ら考え自発的に動くことが成功につながることとなると思われます。
どのような組織であっても、外部環境の変化には敏感になる必要がありますし、リーダーは外部環境に応じて、メンバーが自発的に動けるように組織内の環境を築くことが必要でしょう。
(黒川)