【古川】KAM

2018年5月8日に企業会計審議会監査部会から「監査基準の改定について(公開草案)」が公表されました。本公開草案の主な改正点は、監査報告書に「監査上の主要な検討事項」(KAM:Key Audit matters)を記載するというものです。

 

KAMは、「監査の過程で監査役等と協議した事項の中から特に注意を払った事項を決定した上で、その中からさらに、当年度の財務諸表の監査において、職業的専門家として特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項として決定しなければならない。」と定義されています。重要な監査上の論点からさらに重要な事項を抽出するというイメージでしょうか。

監査人は、KAMとして決定した事項について、関連する財務諸表における開示がある場合には当該開示への参照を付した上で以下の事項を監査報告書に記載する必用があります。

・KAMの内容

・監査人がKAMであると決定した理由

・監査における監査人の対応

 

現状でも、監査法人内において、財務諸表監査上「特別な検討を要するリスク(監査上の重要論点と考えれば良いと思います)」が検討されており、期末監査結果報告時に、リスク内容、監査上の対応とその結果が監査役会等に報告されています。実務上はこの中から、特に重要であると判断した事項をKAMとして開示することが想定されます。

 

この場合、上場準備企業にとってどのような影響が想定されるでしょうか。

まず考えられるのが、監査役の財務諸表及び財務諸表監査に対する理解が現在よりもさらに深く求められるようになるのではないかという点です。監査基準上も「監査役等と協議した事項」と記載されており、監査役と監査法人のコミュニケーションが一層重要になると思われます。

もう一つは、Ⅰの部の【事業等のリスク】の開示です。【事業等のリスク】は財務諸表監査の監査対象外であるため、記載内容については主幹事証券からの指導が中心であり、監査法人が記載内容について積極的に関与する例はあまりないものと思われます。しかしKAMに記載する事項は【事業等のリスク】とも密接に関連するため、監査法人から【事業等のリスク】の開示について指導が強化されることも想定されます。

 

本公開草案の適用時期は平成33年3月期決算に係る財務諸表監査からになり、まだまだ先の話ではありますが、企業情報をどこまで開示すべきかという論点とも関連するため、留意すべき事項かと思います。

 

古川

 

2024IPO社数(予定を含む)=26*

2023IPO社数(通期)=96*

 

4月19日現在

市場別

2024

(含予定)

2023

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

0

3

23

0

0

1

0

2

23

66

5

1

1

0

 Qボード 0 1

合計

   27

99

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

 

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2023IPO社数(通期)=96*

2022IPO社数(通期)=91*

 

市場別

2023

2022

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

2

23

66

5

1

1

0

3※1

142

70※3

2

0

2

1

 Qボード 1 0

合計

   99

92

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

2022IPO社数=91

2021年IPO社数=125社

 

市場別

2022

 

2021

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

2

10

60

1

6

東証2

3

8

マザーズ

10

93

JASDAQ

メイン-名

1

2

16

名証2

0

3

ネクスト-名

セントレックス

2

0

1

Qボード

アンビシャス

0

3

合計

92

130

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。