まだ今年は終わっていませんが、2018年のIPO予定企業が一通り出揃いました。
2018年のIPO市場を簡単に振り返ってみたいと思います(以下の社数には、上場承認済みの12月上場予定企業も含まれています)。
・ 2018年のIPO社数は合計で91社(※)でした。2017年のIPO社数は89社だったため、前年比で2社増加したことになります。
・ 個別の記録では、12月に上場するソフトバンクが上場に伴い約2.6兆円の売り出しを行い、IPOとしては過去最大の金額となる見込みです。また、4月に上場したHEROZの初値49,000円は公募価格4,500円の約10.9倍となり、過去最大の上昇率となりました。
・ 東証の上場承認を受けながら、上場日までの間に上場承認が取り消しとなった会社が4社(世紀、パデコ、インバウンドテック、テノ.ホールディングス)もありました。そのうち、テノ.ホールディングスについては9月に上場承認取り消しとなった後、11月に再度上場承認され12月に上場する予定となっており、短期間で再承認を受けた珍しい事例となっています。
・ 市場別ではマザーズが64社と圧倒的で、JASDAQスタンダードが14社、東証1部・2部が12社となりました。また、地方市場の札証アンビシャスで1社のIPOがありました(重複上場は除いています)。
・ 主幹事証券は野村證券とみずほ証券が23社で首位、SMBC日興証券19社、大和証券が11社、SBI証券10社と続きました(社数は取引所公表資料の「幹事取引参加者」の記載ベース。共同主幹事で複数の証券会社の記載がある場合は全て加算しています)。
・ 監査法人は新日本が29社で首位。次いであずさ25社、トーマツ21社となっています。大手3法人で全体の約82%のシェアを占めており、前年の大手3法人によるシェア約77%と比較すると、寡占率は更に上昇しています。
・ 印刷会社についてはプロネクサスが57社、宝印刷が34社となりました。
・ 証券代行機関については三菱UFJ信託と三井住友信託が34社で同数になりました。みずほ信託が19社で続いています。
期中では年間のIPO社数が100社を超える見込み、との話も聞いていましたが、結果としては前年比で微増の社数となりました。足元では上場審査が厳しくなっており、審査の段階で延期や中止になる会社も目立っているようで、上場準備段階からきちんとした体制を作る重要性が今まで以上に増してきていると思います。
※TOKYO PRO Marketへ新規上場した7社及びTOKYO PRO Marketへ12月に上場
予定の1社を合わせると99社になります。当記事では、TOKYO PRO Marketへの上
場は社数から除いています。
(関口)